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なぜ日経平均は3万円を嫌うのか?待てど出てこぬ岸田政権の具体策、消費増税で「分配」すれば一気に株価上昇へ=山崎和邦

岸田政権の価値観の基本は「成長」にある

どんな経済政策にも価値観が伴う。価値観が伴わない経済政策はない。岸田政権の分配と成長との好循環は成長に重点がある。岸田政権の価値観の基本は、格差問題解消ではない。成長にある。

これが宏池会の伝統的な経済重視である。経済政策への後押しのために分配政策が必要だという文脈である。

分配という価値観だけに絞れば、与野党とも今回の選挙ほど分配々々を連呼した選挙もなかった。その結果、国債を発行して国民にお金を配ることまでが分配であるかのような認識が広まったと思う。

本来、分配比率というものは経済成長への「貢献度合い」に応じて行われるものであり、立場上の強弱や政治的な要素も強く反映されることは事実である。この「貢献原則に基づいた分配」を「家計の必要原則に基づいた分配」にするということは「再分配」となる。

経済成長が実現し、そこへの貢献度合いに応じて分配されるならば、これは文字通りの「成長と分配との好循環」であるが、その貢献原則に基づいた分配を政府が介入するのは「再分配」ということになる。

岸田政権が掲げる賃上げ優遇税制は、賃金に直接働きかける分配政策である。安倍政権初期の時代に、政府は経団連等に賃上げを「お願い」していた「官製春闘」もこの類に属するであろう。野党が主張している減税や現金給付での国民の可処分所得を増やすことは分配ではなく、再分配となる。いかなる政策も価値観なくしては成立しない。

先富論的な新自由主義から「分配の自由主義」への転換は正論

毛沢東死亡後、鄧小平は「先に富める者から富んで行け、そうすればその余滴が国民全体に広がるはずだ」という意味で「先富論」を説いて回った。市場開放に移れば格差が生じることを先読みして「先富論」を説いて歩いた。それから半世紀近く後に、小泉竹中ラインの新自由主義による先富論が現実のものとなり、格差を拡大した。

岸田首相は明らかに「新自由主義からの転換」を標榜し、分配なくして成長なしを謳い始めた。家計が豊かになって消費が増えれば、GDPの6割を占める要素が増大するのだから間違いなくGDPは増えて経済成長する。これは理論的には間違いがない。

しかし、どうやって家計を豊かにするかが問題である。

偶然にも、習近平は1%の富裕者が全体の富の3割を占めているという格差を放置できずに「共同富裕」を言い出した。先富論ではなくて「共同富裕」としてみんなで豊かになろうという謳い文句ではあるが、これも突き詰めて考えれば、分配の問題に行きつく。

Next: 「分配なければ成長なし」の財源には消費増税で賄えばよい

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