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若者ほど騙される。中国ネット詐欺集団がコロナで凶悪化、日本人を狙う最新手口とは=牧野武文

新型コロナ流行の前後で、中国のネット詐欺の形は大きく変わりました。コロナ以前は中高年が狙われる投資詐欺が一般的な手口でしたが、コロナ後は若者が狙われる「量より質」の詐欺手法が横行。日本人の多くもターゲットになっています。(『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』牧野武文)

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※本記事は有料メルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』2021年11月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:牧野武文(まきの たけふみ)
ITジャーナリスト、フリーライター。著書に『Googleの正体』『論語なう』『任天堂ノスタルジー横井軍平とその時代』など。中国のIT事情を解説するブログ「中華IT最新事情」の発行人を務める。

若者ほど騙される?中国ネット詐欺の最新事情

今回は、中国のネット詐欺についてご紹介します。

ネット詐欺は中国だけではなく、全世界的に増加しています。特にコロナの感染拡大により、生活が苦しくなったこともあり、ネット詐欺に手を染める人、甘い話に騙されてしまう人が増えたことによるものです。また、ECの利用がどの国でも急増したことも関係しているようです。

ところが、中国のネット詐欺状況には大きな特徴が見て取れます。それは、コロナ前とコロナ後で、詐欺被害の形が大きく変わったことです。

コロナ以前は、中高年が狙われる投資詐欺が一般的な手口でした。しかし、コロナ後は、若者が狙われ、副業詐欺が一般的になっています。

一般にリテラシーが高いはずの若者がどうして騙されるのでしょうか。

現在の詐欺集団は、個人情報を先に入手し、ターゲットに合わせた詐欺シナリオを利用するため、騙されてしまうのです。相手側が自分の個人情報を知っているので、正規の顧客センターや警察であると信じてしまうのです。

さらに、詐欺集団は、AIツールを使って、効率的に詐欺を実行するようになっています。一方、それに対抗をするホワイトハッカー側もさまざまなデジタルツールを使って防止をしようとしています。

詐欺は、テクノロジーを使った高度な戦いになろうとしています。

コロナ後に急増したネット詐欺。狙われるのは若い世代

中国はネット詐欺が多い国で、以前は、ウェブにアクセスしただけでマルウェアがインストールされるとまで言われていました。

それもここ5年ほどは、毎年のようにネット詐欺被害が減少していきました。国家反詐欺センターが公安と協調して、さまざまな啓蒙活動するだけでなく、360やテンセントなどの優秀なホワイトハッカーチームが登場して、実行犯の居場所を突き止め、公安に情報提供をするという活動を行い、それが成果を上げ始めたからです。

ところが、新型コロナの感染拡大が始まると、再びネット詐欺被害が急増しています。

飲食店や小売店の閉鎖により職を失った人が大量に出たことが、引き金になったと見られています。仕事がないので、詐欺に手を染める人が増えているのです。

また、詐欺の中心になっている手口が副業詐欺です。「楽に稼げる仕事がある」という誘惑をして、登録料などを騙し取るというものです。仕事が無くなり、このような副業詐欺に騙されてしまう人が増えています。

コロナ後のネット詐欺の大きな特徴が、若者が騙されるということです。以前は40代、50代以上の中高年が主な被害者で、投資詐欺が手口の中心でした。それが、中国信息通信研究院の公開した「新形勢下での電信ネット詐欺管理報告」によると、詐欺被害者のうち最も多かったのが90后(90年代生まれ・20代)の63.7%となったのです。ネット詐欺の世界に大きな変化が起きています。

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