薬局と医療機関を結ぶネットワークは時代遅れで貧弱
こういうことになって思うことなのですが、患者さんの状態別に、薬の供給における優先度を決めることはできないのでしょうか。
コロナ患者さんへの対応、ワクチン接種の優先度を議論するときもテーマになっていましたね。
もし患者さんの健康状態がデータ化されていて、それが医療機関で共有できていたとしたら、患者さんごとに薬の供給頻度を変えることはできたのかもしれませんね。
テレビでこのニュースを報道しているシーンを見ていると、メーカーから薬局宛に送られる品薄情報連絡がFAXでやり取りしているのを見ました。「納品日未定」という印字をテレビが映しているのですが、思わず「FAX?」と叫んでしまいました。
いつも行く薬局も古いPCを使い、「お薬手帳」に貼り付けるシールをプリントアウトしてくれています。薬の情報も打ち出してくれているのですが、おそらく薬局で使用する専用ソフトが有るのでしょうが、顧客データなどは、このお店にある端末で管理していて、つまり、この古いPCの中だけにデータを保管しているのだろうと思いました。
薬局同士でネットワークが繋がっていれば、お互い足りない薬を融通しあえるのではないかと思うのですが、それは商売上、難しいのでしょう。それ以前に、インフラ整備の問題かもしれません。
薬局とクリニックでデータを共有する、あるいは地域の診療所とネットワークを繋ぐといったことは、どこから見てもしていなさそうなのです。それはクリニック同士でも同じで、医院ごとにデータを管理していて、地域連携とか、ネットワーク管理していないように思われます。
大きな病院で検査したデータは、患者自身がDVDで持ち運んでいます。紙やレントゲン写真そのものを持ち運ばなくなっただけでも“まし”ですかね。
専門科が違うクリニックに患者を紹介するとき、紹介状と基礎データを入れた封筒を患者に持たせます。もっとも紹介状作成でお金になりますから、データ送信だと“ありがたみ”が演出できませんからね。
別のクリニックで検査したデータは、おそらくメールで「資料添付」でやり取りしているのかもしれませんね。個人情報保護の観点もあるのでしょう。ネット空間は危険地域だという認識が強いのでしょうね。
そのためのブロックチェーン技術があるのですが、果たして社会インフラの隅々にまで、ブロックチェーン技術が浸透するのは、いったいいつの日のことになるのでしょう。
供給量の先細りを国は予見できなかったのか
いずれにしても、命に関わる「薬不足」の状況は、コロナによる原薬輸入困難状況や大阪物流倉庫火事など、想定できない要因はあるとしても、後発医薬品メーカーの不祥事による供給停止という要素が最も大きい様子。
そのことに関しては、ある程度、供給量の先細りを予見して、政府は何らかの対策は打てたのではないかと思われます。
役人は起きたことの対処はうまくても、まだ見ぬ未来を予見して対応する能力は、コロナ対応を見ても十分だとは言えません。
ジェネリック医薬品供給不足が、どうもコロナとは関係のない政策や行政にあるような気がしてならないのですが、こういうことは、この国ではこれからも多く見られるのでしょうね…。
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『らぽーる・マガジン』(2021年12月20日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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