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「2〜3年は欠品続く」薬剤師が悲鳴。ジェネリック医薬品を推して医療危機を招いた政府の罪=原彰宏

相次ぐ製薬会社の不祥事

去年、水虫など真菌症の治療薬に「睡眠導入剤」の成分が混入した問題が発覚した福井県あわら市の医薬品メーカー「小林化工」は、福井県から最長となる116日間の業務停止命令を受けていました。

ただ、業務停止機関が6月5日に満了したのですが、製造および出荷について業務再開の目途は立っていないとのことでした。

福井県から業務改善命令が発出されており、業務の改善が認めなければ、業務は再開できない状況にあり、特別調査委員会が調査する過程で、製造部門だけでなく、研究開発部門にも不正が見つかり、12製品が薬価削除になるとともに、厚労省からも業務改善命令を受けているのです。

日医工は昨年4月から今年1月にかけて品質の不備などを理由に75品目を自主回収しています。

長生堂製薬や共和薬品工業などで製造上の不備が発覚しており、代替需要が集中する一部メーカーも増産が追いつかず、供給の制限を余儀なくされる事態となっています。

日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)に加盟する38社だけで見ても、供給を絞っている品目は今年10月時点で1,869品目に上っているそうです。

後発医薬品目メーカーの構造問題や拡大路線のひずみについて、「製薬業界で話題のニュースがよくわかる」をコンセプトの「AnswerNews」は記事で取り上げています。
※参考:後発医薬品 品質不正が示す「薄利多売ビジネス」の限界 – AnswersNews(2021年10月18日配信)

ようは、企業側の事情で供給できない状況になっているということです。小林化工の件に関しては、友人が実際に被害にあっていたので、ことの深刻さを強く感じていました。

中国やインドからの原薬輸入が困難に

次に「原薬輸入」が困難な状況に陥っているということです。

ジェネリック医薬品製造における「原薬」を、中国やインドから輸入しているそうなのですが、コロナにより、製造が滞り、運搬にも支障をきたして、原薬確保が困難になっていることも、薬の不足要因となっています。

原薬に関しての情報は「日本ジェネリック製薬協会JGA」のホームページにあります。

決定打は大阪物流倉庫大規模火災

そして、このような状況の中で決定打となったのが、大阪此花区の物流倉庫で起きた大規模火災。先月の話です。

大阪府病院薬剤師会はホームページに「日立物流西日本の物流センター火災による医療用医薬品の安定供給に関する対応への協力について」と掲載しています。

この倉庫には複数の製薬会社の薬品が大量に保管されており、あるメーカーはこの火事で8割の薬品を失ったとしています。

厚労省は、各都道府県に、一部医薬品供給に不安定な状態が発生することを受けて、医療機関に対して仮発注などの過度な受注を避けるように通達を出しています。

Next: いまだにFAX?薬局と医療機関を結ぶネットワークは時代遅れで貧弱

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