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日経平均は反落、「掉尾の一振」より手仕舞い売り優勢か

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 日経平均は反落。259.30円安の28809.86円(出来高概算4億0214万株)で前場の取引を終えている。

 28日の米株式市場でNYダウは95.83ドル高(+0.26%)と5日続伸。S&P500指数は一時過去最高値を更新したが失速し小反落。疾病対策センター(CDC)が、新型コロナウイルスに感染した無症状の国民に対する隔離推奨期間を従来の10日間から5日間に短縮したことが景気回復に対する楽観的な見方を支援。航空機メーカーのボーイング(BA)や消費関連株の上昇がけん引し終日堅調に推移した。ハイテク株は利益確定売りに押され、ナスダック総合指数は-0.56%と反落。

 米株高の小休止を受けて日経平均は73.43円安からスタート。寄り付き直後に一時29106.28円まで切り返したがすぐに失速。29000円を維持しようと下げ渋る動きも見られたが、前場中頃からは軟調なアジア市況や時間外のNYダウ先物に連れ安し、同水準を割り込むと下げ幅を拡大。前引け直前には一時28729.61円(-339.55円)まで下げた。

 個別では、連日で上場来高値を更新していた東エレク<8035>やレーザーテック<6920>が利益確定売りに押され反落。ソニーG<6758>、キーエンス<6861>、ファーストリテ<9983>、任天堂<7974>、村田製<6981>、三井ハイテック<6966>などの値がさ株やハイテク、グロース(成長)株が総じて軟調。配当や優待の権利落ちでJT<2914>やすかいらーく<3197>も大きく下落。前日まで2日連続でストップ安となったレノバ<9519>は30%超の下落率で急落。上半期決算発表で目先の出尽くし感が先行したERI HD<6083>も急落。第1四半期好決算も出尽くし感が優勢となったマルマエ<6264>は4%近く下げた。

 一方、久々に商船三井<9104>や川崎汽船<9107>の海運株のほか、ソフトバンクG<9984>が大きく上昇。武田薬<4502>、NTT<9432>、JR東<9020>、JAL<9201>、神戸物産<3038>などのディフェンシブ銘柄やアフターコロナ銘柄の一角も堅調。9-11月期が大幅増益となったJフロント<3086>は大幅高。調査報告書受領を受けた警戒感の後退や過年度決算の修正による実体面での影響は限定的との見方から、アウトソーシング<2427>が急反発した。

 セクターではゴム製品、ガラス・土石製品、電気機器などが下落率上位となっている一方、海運業、空運業、石油・石炭製品などが上昇率上位となっている。東証1部の値下がり銘柄は全体の34%、対して値上がり銘柄は60%となっている。

 前日におよそ一カ月ぶりに29000円を回復した日経平均は、本日は想定以上の下落ぶりで、早々に29000円割れに後戻り。日足チャートでは前日に回復したばかりの200日移動平均線を割り込んだ。また、気になるのは、本日の下落により、その上にある75日線が強烈な上値抵抗線として存在感を強める形になってしまったことだ。12月8、16日と並び、3度も戻り局面で同線を明確に突破することができず、この先も、上昇しても戻り待ちの売りが意識される状況だ。

 一方、東証株価指数(TOPIX)の下落率は、0.51%と日経平均の0.89%より軽微にとどまっており、東証1部の値上がり銘柄も全体の60%と過半数を上回っている。売買高も4億株程度と低調なところを見ると、薄商いのなか短期筋が日経平均先物を主体に売っている影響が大きいとみられる。そのため、過度な悲観までは不要だろう。

 ただ、前日に大幅増収増益の好決算を発表したマルマエが大きく売られていることは気になる。もともと株価が上場来高値圏にあったほか、前日のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が反落していたこともあり、出尽くし感が先行しやすい状況ではあった。しかし、好決算でも年末年始を跨ぎたくない投資家心理も窺え、いまの市場センチメントがそこまで強気でないことを示唆しているようだ。「掉尾の一振」が期待されてはいたが、今年は手仕舞い売りが優勢となりそうで、明日の大納会への望みはやや剥落したか。

 後場の日経平均は引き続き軟調な展開となりそうだが、前引け間際にかけては下げ渋る動きが見られた。商いが薄い分、アジア市況や時間外のNYダウ先物による影響が大きいだろうが、28500円が近づく場面ではさすがに押し目買いが入るだろう。
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