fbpx

2022年最凶リスクは中国「ゼロコロナ政策の失敗」。習近平の権力私物化が世界経済を凍らせる=勝又壽良

コロナよりも食料不足が脅威。西安市の完全都市封鎖

陝西省西安市(人口1,300万人)は、12月23日から都市封鎖されている。西安当局者は1月3日のブリーフィングで、387カ所の隔離施設に4万人近くが収容されていると明らかにした。

中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」では、ある住民が「同じ集合住宅の隣人が検査で陽性反応が出たという理由で、知らない隔離施設に連れて行かれることを最も恐れている」と投稿していた。『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』(1月5日付)が報じたもの。

西安市が封鎖された時点では、各世帯から1人だけ2日おきに食料の買い出しが認められていた。その後、感染者の増加に伴い買い出しの外出が禁止された。食料品店の大半は閉まっており、ネット注文の配達サービスもほとんどが中止となっている。SNS上では、「正直言って、コロナが怖いとは思わない。むしろ食料不足が最大脅威だ」と、前記のWSJは報じている。

人口規模で、東京都より100万人少ないだけの西安市で、全市民の外出を禁じている。こういう措置が、どれだけのリアクションを起こすか。それを想像もできない当局は、いかに市民生活に鈍感であるかを物語っている。「それが共産主義社会」と言えばそれまでだが、基本的人権を踏みにじった政治であることを証明している。

西安市では、当局が発表した1月4日の有症状の国内感染者数は35人で、前日の95人、12月25日から31日までの期間中の1日当たり150人以上から大幅に減少した。『ロイター』(1月5日付)が報じた。だが、「感染者ゼロ」になるまで都市封鎖が続く。

河南省禹州市は110万人の住民に対し、1月2日から町外に出ることを禁じている。同市および省全体の感染者は、わずかな数にとどまっている。同省では4日の国内感染者が4人、無症状の国内感染者が18人と報告された。1月4日遅くの政府発表文によると、禹州市の家庭は2日ごとに1人のみが指定された場所で生活必需品を購入できる。リスクの高い地域では在宅と配達の利用が呼び掛けられている。前記の『ロイター』が報じた。

ユーラシア・グループが、「ゼロコロナ」を世界10大リスクの1位に挙げたのは、先進国がワクチン接種や治療薬の普及でパンデミック(感染大流行)の終わりが見える。その一方、中国はそこに到達できないと予想しているからだ。中国政府は、「ゼロコロナ」政策を志向するが、感染力の強い変異型に対して、効果の低い中国製ワクチンでは太刀打ちできないと見ているのだ。

この点は、私も折りに触れて指摘した点である。中国がパンデミックで最大の被害国になるであろう。中国は、世界のサプライセンターである。それだけに、ロックダウンに伴う生産中止の影響が、世界中に広がりかねないのだ。

ロックダウンを指示したのは習近平

ロックダウンを指示したのは、防疫専門家でない習近平氏である。

新型コロナウイルスは、2020年1月から武漢で感染者を多数出して大混乱に陥った。死者数は、公式発表の数倍とされ実数が隠蔽され、共産党の威厳を保った。習氏は、この混乱が一時収束に向かった理由として、ロックダウンの結果と見たのであろう。当時はまだ、ワクチンも登場していなかった。だから、緊急対策としてロックダウンしかなかったのだ。

習氏の視野が狭いのは、感染者数を減らす方法がロックダウンしかないと断じている点だ。中国の防疫専門家は、習氏へ「ウィズコロナ」を進言して拒絶され、「認識が甘い」と逆に説教されたとWSJが伝える。

この情景が示唆するように、中国は習氏がすべてを取り仕切っている。習氏は、地方のトイレ状況まで改善策を出すほど、身体に似合わない「細かい」性格なのだ。

Next: 中国の成長はまもなく止まる?越えられない2つの壁

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー