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2022年最凶リスクは中国「ゼロコロナ政策の失敗」。習近平の権力私物化が世界経済を凍らせる=勝又壽良

例年、米コンサルタント会社のユーラシア・グループが「世界10大リスク」を発表している。22年のリスク第1位と第4位には、中国リスクが挙がった。習近平の独断による潜在経済成長率を引き下げる政策の実施で、2022年も世界経済の混乱が続く可能性は極めて高くなりそうだ。『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

【関連】日本「年収30年横ばい」の黒幕は内部留保。労働生産性に見合った賃金を払わぬ大企業の罪=勝又壽良

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2022年1月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

「世界10大リスク」1位と4位に中国リスク

例年、年初に米コンサルタント会社のユーラシア・グループが発表する「世界10大リスク」は、世界的に注目された存在である。

22年の10大リスク第1位と第4位には、中国リスクが挙がった。第1位は、ゼロコロナ政策の失敗。第4位は、中国の国内政策である。

米国は、第3位に今秋の中間選挙を上げている。

中国リスクが、米国のそれよりも高くなっているのは、政策に普遍性がないことだろう。合理的な政策を選択しない結果、その悪影響が世界的に拡大されるという思わぬ副次効果をもたらしリスクを高める。

習近平氏は、「中国式社会主義」と称しているが、非合理極まりないのだ。

「ゼロコロナ」と「不動産バブル崩壊」が経済を破壊

世界リスク第1位になった「ゼロコロナ」は、経済と感染防止の均衡解を求めず、感染防止に偏重している。このことが、経済を破壊している。このメルマガ(昨年12月27日発行)では、22年の中国経済の抱える問題点について2つ挙げた。

1)中国のコロナ感染症対策は、「ゼロコロナ」である。これによってもたらされる経済的な損害が甚大であること。

2)不動産バブルの終焉は、中国経済の健全化にとって正しい選択であるが、今後の不動産投資減少のもたらす需要減が、GDPを直撃すること。

先述の通り、「世界10大リスク」の1位が「ゼロコロナ」。4位は、不動産バブルの終焉がもたらす国内経済の混乱である。

私は、中国の抱える当面の問題点が、世界10大リスクの上位に上がっていることに、改めて「中国危機」の本質を認識するのだ。

「ゼロコロナ」の落し穴

「ゼロコロナ」は、習近平氏が最も拘っている点である。

「中華民族復興」という時代がかったことを言い出して、民族優越性を唱えている結果、米英製のコロナワクチンを接種できないジレンマに立たされている。医療施設も劣悪である。こういう条件下では、「ゼロコロナ」による感染防止策しかないのだ。

「ゼロコロナ」は、自然感染の余地を無くすので常時、コロナの真空地帯になっている。ひとたび、感染者が出ると「燎原の火」のように燃えさかる状況だ。積んだ薪の側にマッチを置くようなものだろう。

こういう非科学的防疫策を取らざるを得ないところに、中国の総合的医療科学の劣位性が見られる。「中華民族再興」のスローガンが空虚に響くのだ。

Next: コロナより怖い「ゼロコロナ」政策による食料不足

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