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だからガソリン価格は下がらない。ウクライナ問題は経済制裁「金融市場への原爆投下」で終局する=斎藤満

ウクライナ問題が緊張を高めています。ブリンケン米国務長官は26日、ロシアが求めてきた安全保障上の主要な要求に対し、米国が拒否する書簡を手渡し、ロシアはこれを確認しました。ロシアがゼロ回答で黙って引き下がれば、ロシア国内世論が納得しません。今後ロシアが何らかの行動を起こすと見られます。

欧米はロシアが軍事行動に出れば、経済制裁を強化するといっています。市場への影響は軍事的紛争への不安から、さらに金融市場を含む経済面への影響に広がりつつあります。特に、米英両国が密かに検討している「金融市場での原爆投下」となれば、想定しずらい大きなインパクトの波乱が生じます。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年1月31日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

すでに軍事紛争懸念でボラタイルに

世界の株式市場が先週来、ボラタイルになっています。

ニューヨーク市場では先週、1日の中でダウが1,100ドル余り上下する場面もあり、株式市場の「恐怖指数」ともいわれるVIX指数が上昇しています。FRBによる金融緩和の終焉、引き締め転換とともに、ウクライナをめぐるロシアとNATO(北大西洋条約機構)との緊張が高まっていることも大きな要素になっています。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

NYダウ 日足(SBI証券提供)

米国のバイデン大統領はウクライナに対するロシアの動きに対して、「もしあれだけの兵力でロシアが侵攻してくれば、第二次世界大戦以来の大規模な侵攻になる。世界を変えてしまうだろう」と強い危機感を示しました。

そのバイデン大統領は先週、ウクライナに向けて軍備装備品や軍需用品を空路輸送しましたが、兵は送らないといい、軍事行動には消極的な姿勢を見せています。その足元を見られてロシアがより強気の姿勢で軍事行動に出るのではとの懸念が高まりました。バイデン政権の戦略ミスともとられます。そのためか、28日には米国が東欧やNATOに兵を送るとやや修正しています。

一方、欧州組は東欧に兵力を増派しています。これにロシアが反発し、こうした地政学的な不安が市場には新たな不安定要因となり、株式市場を中心にボラタイルな動きをすでにもたらしていますが、市場への影響は、軍事衝突のみならず、経済的な側面も不安要素になりつつあります。

軍事紛争より経済制裁傾斜

それは米英が軍事衝突よりも、ロシアが侵攻した場合には、欧米でロシアやプーチン大統領に対して経済制裁を科す動きを見せているためでもあります。

欧米が経済制裁に出れば、当然ロシアの報復措置も想定されます。

この経済措置が両陣営にとって、そして世界にとって経済的なマイナスになることは容易に想像できます。

その中で特に影響力の大きい問題が2つあります。

Next: 「政府補助金」発動でも下がらぬガソリン価格。制裁合戦の結末は?

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