新型コロナワクチンの配送に関して、大阪市では市の約款で原則認めていない「多重下請け」が実際には行われていたと判明し、大きな波紋が広がっている。
報道によると、大阪市はワクチン配送を大手運送会社に業務委託しているが、ワクチンを運んでいたのは3次請けや4次請けの運送会社だったとみられ、配送車の社名をテープで隠したりといった“隠蔽行為”らしき様子も認められたという。
この件に関して、大阪市保健所は「4次請けまでは把握しているが、運送業界の慣例であり、それは再々委託には当たらないと思っていた。現在、契約上問題がないか調査している」と話しているという。
4次請けドライバーの報酬は高速・ガス代込みで日当1万円強
ワクチン配送における多重下請けの問題は、昨年末に神戸市でも発覚しているが、大阪市はその際に委託先に聞き取り調査をしたところ、今回の事実が明るみになったとのこと。
ワクチン配送といえば温度など厳重な管理が求められるだけに、このような不透明な実態というのは、責任の所在もあいまいになることもあり、いたって由々しき問題と言えそうである。
ここ近年のコロナ禍において、多く耳にする政府や自治体絡みの事業における「多重下請け」の問題。なかでも印象深いのが、新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」開発の件だ。
この時は、厚生労働省から委託を受けたある企業が、別の3社に契約金額の94%で事業を再委託し、また再受託のうちの1社がさらに別の企業に再々委託をしていたことが発覚。その影響もあってか、COCOAは不具合が続出したうえに、その原因の把握も難航し、今ではすっかり役立たずとの烙印を押されてしまったのは、ご存じの通りである。
この時には元請けによる「中抜き」疑惑も大いに指摘されたが、今回のワクチン配送においてもやはり同様の実態が存在した模様。なんでも大阪市は、委託先の会社に通常配送1台当たり1日3万4,000円を払っていたというが、実際4次請けのドライバーに支払われていた日当は1万1,000円、しかもガソリン代や高速代も込みだったというのだ。
大阪市のワクチン配送の多重下請けによる公金搾取は、市もグルか?
— 大阪救民会議 (@osakakyumin) February 2, 2022
なにこれ、多重下請け?
大阪市
ワクチン配送
違法の再々委託?社名を隠すよう、マニュアルまであったとか、、
大阪市の認識は? pic.twitter.com/dLSc0thfmZ— so sora (@sosorasora3) February 2, 2022
大阪市
ワクチン配送に禁止されている
多重下請けが発覚。この件について#松井一郎 氏の
見解を待ちたい https://t.co/ORfpBVPfsm— お尻痛い社長mn京都1区 (@NQlGID92gPGj6qb) February 2, 2022
このような中抜きの実態に対して、SNS上の一部からは「市もグルか?」といった見方もあり、大阪市あるいは市長である維新の松井一郎氏の認識・見解を聞きたいとの声が多くあがっている状況。血税の無駄遣いといった問題もさることながら、今後は3度目のワクチン接種が本格化するだけあって、この異常な状況を直ちに是正して欲しいというのが、市民の切なる心境だろう。
アベノマスクの追加発送にも“中抜き”疑惑が浮上
このように度々と取沙汰される「中抜き」の問題だが、いっぽうでアベノマスクの“追加発送”に関しても、ここに来て同様の指摘がSNS上では噴出している状況だ。
アベノマスク、作って中抜き、検査し中抜き、保存し中抜き、送って中抜き。
— やす (@yasuhosei101) February 3, 2022
アベノマスクの希望者には着払いで送るべき。これ以上の税金の無駄遣いはゆるされない。送る作業過程で税の中抜きがされる疑念もある。
— 岸原さや (@sayasaya777) February 2, 2022
貰いたい人本当にいるの?忖度?配送料10億円本当?中抜き?
絶対阻止すべき‼︎困っている人がいる今これを許してはならない‼︎今からでも着払いか破棄に‼︎アベノマスク配送料10億円の衝撃!「江戸時代なら一揆が起きている」と荻原博子氏バッサリ https://t.co/K0MBxaWPIM #日刊ゲンダイDIGITAL
— みけ (@6l7fnUtSLB2GiXN) February 2, 2022
約8,000万枚の大量在庫が問題になっているアベノマスクだが、廃棄をすれば6,000万円程度の費用で済むにもかかわらず、国の委託を受けた民間業者が3月から希望者に送付することを決めた政府。その配送料に関して、松野博一官房長官は「現時点でお示しすることは困難」と発言しているが、ある試算によると10億円にのぼるという。
もともとアベノマスクに関しては、国民に配られた際もまったく有難がられなかったどころか、その後は余ったマスクの保管費用、また大量の不良品が発見されたことから行われた検品でも多額な費用が掛かるなど、ことあるごとに血税が無駄遣いにされた経緯が。そこに今回の“追加発送”で、さらに官房長官がその費用をひた隠しにしようとする不自然ぶりから、「また中抜きか?」と疑いの視線が集中しているのだ。
政府関係者は、未使用品を廃棄するというのは日本人の美徳には合わないといったことも話しているようだが、それで余計な費用がかかるというのなら話は別だというのは、言うまでもないところ。ただ単に処分するのが忍びないというのなら、コロナ平癒を祈願してアベノマスクでお焚き上げでもすればいいのでは……そんな意見もSNS上では浮上している状況だ。
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