ラスキン氏・クック氏は共にFRBには「お呼びでない」存在
直近の上院銀行委員会で問題となっているのは、サラ・ブルーム・ラスキン氏の副議長指名と、リサ・クック氏の理事指名です。
両名ともに、FRBが直面する喫緊の課題への解決になんら寄与しない人物であるとして、共和党から厳しく指摘されている状況にあります。
まず、ラスキンなる人物は、オバマ政権の財務副長官も務めていますから、金融業界とは何の関係もないというほどひどい人事ではありません。
しなしながら、この人物はFRBが化石燃料からグリーンエネルギーに資本の振り向け先を変えさせるべきだと要求し続けている存在で、金融監督担当副議長に任命されれば、間違いなく化石燃料分野への資金の流れを抑制することになるでしょう。
そうでなくてもインフレの一因となっているグリーン政策は、さらに激しいグリーンフレーションを引き起こしかねない状況に陥りそうです。
気候変動問題は、確かに世界規模で大きな問題であるのは事実です。
しかし、FRBのような金融政策を決定する組織が、どこまでそれに関与するのかは非常にクリティカルであり、そもそも足もとのインフレ、そしてやりすぎた金融緩和による中欧銀行バブル崩壊にもまともに対応できないのに、グリーン政策などに一方的に舵を切っていいのか?という疑問は、ウォールストリートにも広がりを見せています。
もう1人、共和党から問題視されているミシガン州立大学のリサ・クック教授は、大統領経済諮問委員会・CEAのシニアエコノミストを務め、政権発足にも参画していましたから、相当バイデンに近しい人物です。
とはいえ、経済学者とは言うものの、専門は構造的な人種差別がすべての経済問題の根源だと考える、かなりバイアスのかかった発想の持ち主とされています。しかも、そもそも金融政策の専門性は皆無という話。
なぜこのFRBの一大事に、こうした人材を理事に投入しなくてはならないのか。重大な懸念を共和党が示すのは、実に理解できるものがあります。
グリーンニューディールと、黒人をはじめとする人種問題に対応したかに見えるこの人事は、その裏側が完全に見透かされてしまっているが現状です。