配当も維持できない?
JTの株価を支えているのが多額の配当です。
今、表面利回りとしては7%以上となっています。配当性向75%ということで、160円の75%の120円となります。
株価が2,000円の今だと利回りは6%ということになり、7%以上と比べると高くはないことになります。
さらに、仮にロシアに接収された場合、ロシアの資産価値は0になってしまい、その期決算では特別損失として計上しなければならなくなります。
そうなると表面的な利益は大きく減少し、財務状況も悪化すると考えられます。
価値「2割減」の覚悟も
以上のことを踏まえて今のJTについて言えることは、ビジネス全体がダメになってしまうというほどではありませんが、売り上げの15%、利益の2割がごっそり無くなってしまう可能性があり、JTのあるべき価値が2割くらい無くなってしまうと思っていた方がいいということです。
そう考えた時に、株価としては1,600円くらいでも妥当であり、今後海外進出が難しくなると株価のアップサイドも取りにくく、足元の業績や財務状況を考えると配当も出しづらくなるという、目先ではだいぶ厳しい環境が続く可能性があるということです。
いま利回りが7%を超えたから買いだと考えているかもしれませんが、ロシアに接収されるリスクを考えると、上手くいって7%というのは割に合わないギャンブルであると忠告します。
もちろん完全にビジネスがダメになってしまうものではありませんし、もし何も起こらなかったとしたら今後も配当銘柄として活躍していくのではないかと思います。
ただ、現時点では合理的に考えてリスクとリターンが合っていないと考えます。もし今JT株を持っているなら、いったん売却することを検討するべきだと思います。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2022年3月15日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。