人生設計を大きく歪めてしまう離婚と相続。選択を間違えると家計に大ダメージを与えかねません。そんな危機をどう乗り越えるべきかについて考えます。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)
※有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2022年3月28日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。
離婚は勢いではなく戦略的に
最初から離婚するつもりで結婚する人はいませんが、誰にでも離婚の可能性はあります。そこで離婚を決意したら、それでもお金に困らないための戦略を持っておく必要があります。
たとえば、夫婦ともに共働きの場合、夫婦双方で住宅ローン控除を使うために共同所有を選ぶ人がいますが、不動産は分けられませんからモメる原因になりがちです。
また、離婚後の大事な要素のひとつは収入ですから、もし自分が専業主婦(主夫)やパート・契約社員などであれば、離婚の前にまずフルタイム正社員を獲得する必要があります。
DVなど身体の危機にある場合はまず別居などしてフルタイム正社員を目指す。その立場になってから協議もしくは調停で離婚手続きに入ったほうが安心で、勢いで離婚するのは避けた方がよさそうです。
相手の財産をしっかり把握しておくこと
双方の話し合いだけで解決するのが協議離婚ですが、一方が拒否したり条件面などで折り合いが付かない場合、家庭裁判所に調停離婚を申し立てることになります。
調停では、担当者が夫・妻別々にヒアリングし、妥協案を探って「こういう条件で受け入れてはどうか」と提案してくれます。ここで決まった取り決めは法的効力を持ちます。
問題になるのは、財産分与の金額、解決金の金額、子どもがいる場合の養育費の取り決めです。
どちらかが拒否すれば離婚は成立せず、次は正式な裁判に移行するしかありません。こうなると時間もお金も膨大にかかるので、多くはこの調停で決着します。
<財産分与>
まず「財産分与」ですが、これは自己申告制なので、相手が財産のありかを隠しているケースがあります。
なので離婚を決意したなら、相手がどこにどのくらいの財産を持っているか把握しておいた方が良いでしょう。でなければ、「これだけしかないから、この半分ね」と言われてもどうしようもありませんから。
<解決金>
解決金とは慰謝料のようなものですが、たとえば価値観の相違など、相手に不貞行為があったわけではない場合は慰謝料という名目は不適切になるためです。一般的には離婚を持ち出した方が払うことが多いでしょう。
これは一時金としてまとまった金額を提示することもあれば、財産分与の中でまとめて扱うこともあります。この辺りは双方の協議次第です。