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日銀は本当に円安容認なのか?ドル円相場を歪める黒田政策の矛盾=角野實

ドルは安くなるのか?

では、ドルはどうか?ということです。

ドルは2020年4月にコロナショックによって金融緩和の拡大とゼロ金利の導入を決定しています。その後、8月まで金利は低下、ドルも安くなりましたが、その後は経済の拡大によって史上最低金利をつけたのちに上昇をしています。

2021年も2020年がその動きが大きいので、4月に頭を打ち、8月底という形です。その後はインフレ懸念によって金利が高騰をしています。

マーケットの基準というのは、前年同月同日と比較して、今年はいくらの上下があるか、ということですので、去年もその幅が大きい以上、今年もその通りに動く可能性が高いということが言えると思います。

そして現在のドルは、アメリカの景気の上下動ではなく、金利の上下動で動く傾向が強いのですから、ドルの金利が4月以降に下がる可能性は極めて強いことからドルが下がる可能性は高いと論じることができるでしょう。

どうみても4月以降にドルが下がるので、円高になる可能性もあるのですから、日銀は日本経済に影響はないと判断をしているのですから、日本の金利を低く抑えることによって、円安を4月以降も促進したいという意図があるのでしょう。

しかし、黒田日銀がやったことは、最初の異次元緩和だけが「まとも」な政策であって、ほかの追加緩和やマイナス金利導入などがほとんど効果らしい効果もなく終わっています。

このことからも、その効果には相当な疑問が残ると言われても、黒田さんは否定ができないと思います。

どちらにしても、4月から円高というシナリオに少し陰が差したということを、念頭に置かなければいけません。

日本の円安というのはドルを買うという行為が永続しなければ、長続きをしない、ということも忘れてはいけません。

円安が日本経済に影響をしないと中央銀行総裁が表明しているのに、円安が進行するのは、話が矛盾していることに誰も気づいていません。

つまり、今の円安は円を売ってドルを買うというスポットの動きによって論じられているだけで、円安にて日本経済があまり影響を受けないのであれば、いずれ円は上昇するという意味になります。

いつも言う、短期的な効果と長期的な効果の区別ができていない状態になるのかな、とは思います。このような混乱の原因をつくる黒田さんがいったい何をやりたいのか。さっぱりわかりません。

内部要因的には2014年の円安のピークに指値を残していた投資家の指値が全部、入ったことになります。これは金や原油、天然ガス、この間、ご紹介したニッケルなどと同じことで、内部要因的には反落ということになります。

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