保証人や連帯保証人などの言葉は聞いたことがあると思いますが、いざ「なってくれ」と頼まれる場面がやってきたら、あなたはどのように振る舞うでしょうか?今回は契約まわりで衝突を避けるための、賢い立ち回り方をご提案します。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)
※有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2022年4月11日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。
保証人と連帯保証人
保証人とか連帯保証人という言葉を聞いたことがあると思いますが、どちらも一言で表現すると「他人の借金を肩代わりする」行為です。
保証人は、借金した本人と連帯保証人に督促して、その財産を差し押さえても返済しきれない場合に、自分に返済の義務が生じます。
連帯保証人は、有無を言わさず自分にも返済の義務があるなど、連帯保証人の方が責任は重いのではありますが、背負うリスクはほぼ同じと考えた方が良いと思います。
たとえば「ちょっと保証人になってくれないか」と他人から頼まれて保証人になったら、そのお金を自分が借金するのと同じです。
なぜ保証人を他人に頼むのか
そもそもなぜその人は、他人(もしくは親戚)であるあなたに保証人になってくれと頼むのでしょうか。高所得な人であれば、保証人は不要で本人だけで借入が可能です。
もしくは不動産を所有していて抵当権が付いていなければ、その不動産を担保にして借入が可能です。つまり、金融機関などお金を貸す側から見ると、その人の所得水準では返済能力に不足があり、かつ担保となる財産がないからです。
あるいは本人の家族などで保証人になってくれる人もいないのでしょう。だから他人にお願いするしかない。
金融機関からまともに資金調達できない状態の人というわけですから、そもそもこの段階でハイリスクです。そして、その人が返済できなければ、自分が代わりに返済しなければなりません。
債権者に対し、本人の財産を差し押さえてからだという主張はできますが、その財産がなければどうしようもない。なので相当注意しなければならないということがわかると思います。
原則として保証人は引き受けないこと
たとえばマイホームを買うので配偶者が連帯保証人として求められることがありますが、夫婦は一蓮托生でしょうから抵抗は少ないと思います。
それにマイホームの場合、通常は団信(団体信用生命保険)に加入しますから、仮に主債務者が亡くなったり高度障害になった場合、残ったローンは保険会社がすべて返済してくれます。
あるいは自分の甥や姪が進学する際の奨学金の保証人になるとしても、進学する本人、連帯保証人(通常は本人の親)という2つの壁に守られています。
一方、事業性の融資の保証人になるのは壁は本人しかおらずリスクが高い。とはいえ親族や取引先や友人や、関係が近い人から頼まれたら断りづらいのも確か…。
いや、そもそも自分の大事な人に保証人というお荷物を背負わせるか?
大事な人ならなおさら負担をかけまい、心配をかけまいとするのではないか?
ということは、自分はそこまで大事な存在じゃないと思われているからじゃないか?
そんな人は友人・親戚と呼べるのか?
というわけで、原則として保証人は引き受けないこと、引き受けるならその借金ごと自分が責任を負うという覚悟が必要です。