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日本の首相「7割が世襲」の異常。政治を“家業”にして特権を独占する世襲議員の闇=神樹兵輔

世襲議員をはびこらせてきた「ザイアンスの法則」

もっとも、ひとくくりに世襲議員はみんなケシカランーーとは切り捨てられません。

「選挙」というフルイにかけられた「選良」という存在であり、なんたって、日本国民が選んだ存在なのですから。

では、日本の有権者が世襲議員をことさらに好む理由は何なのでしょうか。

どうやら、心理学でいう「ザイアンスの法則」に適った現象といえそうです。

ザイアンスの法則とは「人は見知らぬ人には冷淡に接する。人は会えば会うほど好意的になる(単純接触効果)。人はその人物の人間的側面を知るとより強い好意をもつ」という人間心理の法則なのです。

地元で見慣れた顔であればこそ、親近感を覚えるのです。これと類似性があるのは、顔が知られたタレント候補の場合でしょう。

なぜ政治家は自分の議席を身内に譲るのか?

いっぽうで、自分の議席を息子や娘といった身内に譲り、世襲議員を続々と誕生させていく側の論理は、どういうことなのでしょうか。

今回の参議院選挙でも、自民から11人、立民から2人、維新から2人、公明からa人、社民から1人、無所属から2人と合計19人の世襲候補がいるのです。全体の3.5%に相当します。

今回の参院選挙では、一見少なく見えますが、昨年10月の衆院選挙では、131名もの世襲候補がいたのです(全体の23%)。出すほうも出すほうですが、恥ずかし気もなく出るほうも出るほうでしょう。

世襲させたいのは、国会議員の身分があまりにも恵まれているからと言えるでしょう。

オイシイ果実は、身内に継承させることで、赤の他人には絶対渡したくないという一族の論理があるからなのです。

国家・国民のためというよりも、「一族の利権」確保の要素が、極めて強い動機になるからです。

なんたって、当選すれば、「高額報酬」「政治権力」「高待遇」がいっぺんに手に入ります。

国会議員は無税で政治資金を「個人資産」にできる

そして、なんといっても、世襲議員は当選しやすいから…という理由もあるでしょう。

選挙は、昔から「地盤(地元の後援会組織)」「看板(地元での知名度)」「カバン(資金力)」の3バンが大事といわれます。

地元利権を継承させたい支援者も多くいるので、応援体制も整っています。

特に強みは「カバン」でしょう。

政治家の政治資金管理団体は、無税で身内に引き継げるので、親から子への「無税での贈与や相続」も行えてしまうのです。

政治家は引退したらその政治資金は、国庫に返納させるべき性格の金なのにです。こんな不当な制度は禁止すべきでしょう。

2006年に「週刊現代」が報じて発覚した事件では、小沢一郎衆院議員(世襲2代目)の政治団体「陸山会」がゼネコンから得た6億円余の政治献金で土地を購入し、小沢議員の個人名義で登記していたことが問題になりました。

建前上、政治家個人への献金は禁止されていますが、政治資金管理団体経由であれば、巨額の個人資産の形成も容易に図れるゆえんなのです。

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