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人口減少の日本で不動産投資はオワコンか?本気でFIREを目指すなら賃貸市場の未来を読め=午堂登紀雄

「不動産価格はこの先、下がるのか?」

では、今の価格で買えるか?

これについては、私個人としては手を出しにくいなあ……と感じています。昔の価格を知っているから余計に、ですね。

では「不動産価格はこの先、下がるのか?」ですが、現状、下がる要素が見つかりません。

コロナで地方郊外へ転出した人もいますが、リモートで仕事が完結できるホワイトカラーなんて、職業全体のほんの一握りに過ぎません。中小企業はまず難しいでしょう。

それに、病院・小売り・物流・工場・土木建設・外食などなど、ほとんどの仕事には「現場」があります。

設計はリモートでできるかもしれませんが、リモートで家は建たないし、リモートでマッサージも歯の治療もできない。

オンラインで済む仕事はごく一部の仕事に限られるでしょう。IT関係とか、営業・コンサル・サポート・教育・メディア関係などでしょうか。

だから多くの人は、通勤(および子どもの通学に)や買い物、あるいは外食などに便利な都市圏に住む。

一方、人件費や資材価格は上昇し、建築コストも増大しています。

大手デベロッパーやゼネコンなど、膨大な数の社員の給与を払わないといけないですから、毎年建て続けないといけない。しかし赤字の値段で売るわけにもいかない。だから不動産価格も下げようがない。

建築コストが上がれば、仮に乗せる利益を削ったとしても、売り出し価格は上昇する。すでに都内では、普通の人が住宅ローンを組める金額以上に高騰しています。

本来、普通の人が住宅ローンを組めない金額になれば、買える人も減りますから物件価格は調整が入るはず。

しかし都心は供給の数が少ないことと、共働きで世帯年収1,500万円以上のパワーカップルが現状は買い支えているようです。

日銀が金利を上げれば住宅ローン金利も上がるため住宅需要は冷え込み、不動産価格は下がるかもしれません。

しかし、金利上昇で家が売れなくなる、車も売れなくなる、企業も設備投資を控える、国債の利払いも増える……という、景気に水を差し国家財政を悪化させる材料を、政府日銀が出せるかというと、それも難しい。

来年、黒田氏が退任して新しい日銀総裁がどういう政策を出すかはわかりませんが、かような理由から大幅な利上げは見込みにくい。

すると日米金利差がますます広がり、さらなる円安となり、原油や資材を含む輸入価格がさらに上昇する。

ロシアのウクライナ侵攻がいつ終わるのかわからず、長期化の懸念もある。制裁でロシア産木材が入ってこない期間が長引く。

するとますます住宅の建築コストが上がり、不動産価格が上がる。リーマン・ショックのような金融恐慌でもない限り、現状では不動産価格が下がる理由を見つける方が困難です。

Next: 価格が下がるのを待ってもチャンスは来ない。本気でFIREしたいなら?

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