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「実家は子どもに残そう」の美徳が仇となる。相続前に決めておくべき“空き家”防止策=牧野寿和

実家を子供に残すのは、親から子供にできる最後のプレゼントと言われています。でも、実際には空き家となり、物置にしかならない負の遺産となるケースが多々あります。では、実家を空き家にさせないために、親はどうしたらいいのか?実例を上げて解説します。
(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

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プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

子供が困る空き家の典型例

今回は、私が日頃の個別相談業務で見た事例から、親から子どもが活用方法を考えずに実家を相続してもらった後、子どもが困る「空き家」の典型的な事例と、その対応策をお話いたします。

将来の価値を考え実家を相続する

相続税がかかるほどの資産価値のある実家ではないけど、相続しておけば、将来、

・自分の子どもに住まわせてもいい
・賃貸にして貸してもいい
・売却してもいい

といった、活用ができるかもしれない。

そう思い、すでに他の場所に持ち家を所有している子どもが、具体的な活用法を決めることなく、実家を親から相続することがあります。

このような思いで、Aさんも実家を相続しました。ここからは、Aさんの体験を例に、お話を進めていきます。

「空き家」が物置きになる

数年前に、Aさんが相続した実家には、相続後も、衣類や食器類も、そして家のにおいも親が生活をしていたままです。しかし、現在は「空き家」の状態です。

つまり、世間的には「空き家」を物置き代わりに使っている状態です。

現在、Aさんの住んでいる住宅が手狭で、使わないものを、実家の「空き家」に運ぶこともあるそうです。

物置きの内容に価値あるのか?

実家を、物置きとしてのスペースが確保できるならいいことのようにも思えます。

Aさんが、物置きにおいてあるものには、親の思い出の「品物」としての価値はあるでしょう。

そのなかには、売れば数十万円から数百万円の値が付く古美術や骨とう品として、金銭的価値があるかもしれません。

しかし、多くのものは、果たして価値のあるものでしょうか?

客観的にあえて厳しく言えば、値段が付くようなものではないけど、捨てるのには忍びない、処分に困っているものかもしれません。

Next: 子供だけではなく、孫も困らす実家の相続

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