日本中に衝撃を与えた安倍元首相の襲撃事件。山上容疑者の犯行動機が明らかになるにつれて、統一教会と政界のズブズブの関係が見えてくるようになりました。なぜここまで放置されていたのか?改めて統一教会の設立と政界のつながりの歴史を見ていきます。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)
※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2022年7月13日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
謎が謎を呼ぶ安倍元首相襲撃事件の真相
大事件の原因と真相を知りたくなるのは、自然な心理でしょう。
大量に報道される「安倍元首相襲撃事件」では、(1)犯人の動機、(2)遺体の損傷と弾道、(3)警察の警護の3点に、疑念がありました。
今回の材料集めから、(1)の、「個人の動機」は理解できました。
しかし(2)の遺体の外部・内部の傷と3つの弾痕への、合理性への物理的な疑念は、残っています。
・右首下の2つの小さな銃痕からは出血がほとんどなく、銃弾の侵入口であることを示します。
・ところが、外れたという一発目のあと、元首相の右後ろを振り返った姿勢に対して反対側になる右首下(鎖骨の上)に銃弾が入るはずがない。2発目の直後に、元首相はよろよろと前に伏してカードレールの陰に消えたのです。
・左肩から入った1発の銃弾が、左鎖骨に当たって下部に曲がり、動脈と更に下部の心臓を傷つけたあと、上に迷走して威力を減じ、右頸部に2発も、抜けることは、犯人が5mの距離から斜め上に向けて撃ったことから、確率的にあり得ない。
1発の銃弾が、どういう風に、右首下に2つの脱出口を作るのでしょう。反対側の右首から入った2発の銃弾が、胸部動脈を傷つけ、心臓に達し、損傷させた可能性が高い。
弾が出たところとすれば、右首の傷口の損傷は大きくなって、出血が大量になります。ところが、ほとんど出血がなく、傷は丸く小さい。これも、物理的にあり得ない。
法医学の解剖所見の発表はまだです。いつ行われるでしょう。体内には見つからなかったという銃弾について、解剖学合理的な所見が発表されるまでは、ケネディ暗殺に似た複数犯の疑念は消えません。(注)右上の、ビルの屋上からサイレンサーのライフルで、2発目に合わせて撃ったという疑い。『ゴルゴ13』風ですが…。
(3)の、後部の警戒を怠っていた警護の過失は、動画から明らかです。普通の要人警護の体制であれば防げるものでした。意図があったとは思えない。しかし、世界の警護の常識に照らして不思議な警護体制です。警察関係者の言葉では、日本でも当然に、銃撃の想定をした上で警護するという。
襲撃の個人的な動機
動機だけについては、週刊文春に載った、山上容疑者への叔父(弁護士)へのインタービュー記事から、納得がいきました。裁判で刑が確定しないと犯人にならないので、慣例から容疑者と書きます。
京アニ事件との類似:2019年
69人が死傷した「京都アニメーション事件(2019年7月)」に類似しています。当時41歳の男が1階に15リットルのガソリンを撒き、爆発的ビル火災を引き起こし、逃げる間もなく社員を死傷させたものでした。有名作家だった池田晶子さんも、含まれています。当初、犯行の動機が、結果の大きさに照らして不明でした。
犯人は41歳の、社会と職業に隔絶されていたとされる就職氷河期の「ロスゼネ(失われた世代)世代」です。父はタクシーの運転手でしたが、業務中の死亡事故を苦に自殺し一家は離散しています。
下着を盗んで、懲役2年・執行猶予の判決を受けています。コンビニを襲って2万円を奪う事件も起こしています。服役後は、母とは断絶し、生活保護で暮らしていたという。本人は犯行動機を「自分が書いた小説のストーリーを盗まれたから」と言っています。動機が薄弱な事件です。
大阪北新地の、27人死亡した医院放火・殺人事件(2021年12月)とも共通な点があります。犯人は通院していた患者でしたが死亡したので、動機は不明です。
事件に類似性はあっても、個性は違います。
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