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安倍氏亡き後“成長できない日本”の舵取りを岸田首相は担えるのか?自民党党内人事と次期日銀総裁の行方に注目するマーケット=山崎和邦

日本は先進国からすべり落ちる

エズラ・ヴォ─ゲルの「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が発刊された当時に、日本の強みとなっていたものが、今では全て日本の弱みと変化した。

当時は、企業の新卒一括雇用・企業内研修・終身雇用などが日本の強みになっていた。これは今や「日本の弱み」に変化してしまったような感じである。安倍政権の経済政策は雇用を増やし、株価を上げ、時価総額を上げた。ただし、雇用を増やしたといっても正規雇用でない部分が多い。したがって、賃金の平均は横ばいということになっている。

安倍政権の経済政策は財政の拡張を前提にして全体を進めてきたから、安倍元首相の存命中は、岸田政権の経済運営の基本も、その安倍政策とバランスをとることが基本だった。ところが、安倍元首相がいなくなり、そのバランスは不安定になり、経済運営の舵取りはむしろ困難さを増す。

「世界には4つの国しかない。先進国と発展途上国、そして日本とアルゼンチンである」

これは1971年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者サイモン・クズネッツの言葉である。かつてアルゼンチンは輝ける経済の国だった。ところが、21世紀になって以降からはデフォルトは多発するし、債務は膨張するし、極度のインフレ、失われる競争力、そういう典型的な経済没落国に化した。先の言は、日本だけ特別に先進国から滑り落ちるという意味だ。

米国の策にはまった90年代の日本

日本人は総じて勤勉で、清潔好きで、厭世家は少ない。世に厭世の資本主義はない。日本人は、国民としては先進国足り得る資質は持っていると思う。現に、それを1945年から1990年まではレーガンが80年代に日本を追尾国として恐怖するほどまでに実現してきた。

そして

1)1985年に円高にして輸出力を弱まらせようという悪巧み(プラザ合意)
2)手抜き教育によって日本の若者をバカにする方策を奨めた(「ゆとり教育」)

オメデタイ日本国は安易に乗っかった。

だが、手抜き教育は意外に早く自ら気づいて改めたし、円高は天の許さざるところまできて反転した。デフレも脱しつつあり、インフレ気運になってきた。問題は政策である。

安倍政権のブレーンはリフレ派であった。「政策を売り歩く商売人」として、学界では評判の悪い竹中平蔵氏辺りの意見も、一応は聞いてみればいいだろう。インフラビジネスは移り行くということを、建設技術研究所は言っている。こういう意見も聞いてみたら良かろう。必ずしも責任を持った発言か、机上のアイディアかはわからないが、幸い日本には色々な論客が数多く居る。一概にバカにせずに、この際は意見を聞くべきだ。

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