マレーシア、タイにも抜かれた日本の競争力
例えば、国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表している世界競争力ランキングという指標があります。最新の2022年版では、日本は第34位ですが、1992年までは1位であり、日本はここまで凋落したという主張をする時によく引き合いに出されるデータです。
なぜ、日本が1位から34位まで落ちているかについては専門家の方の解説を読んでいただくとして、このデータに見逃せない事実があります。それは、日本はアジアの中でも競争力が低下をしているということです。アジア圏のトップは、シンガポール(3位)で、香港(5位)、台湾(7位)、中国(17位)、韓国(27位)と続きます。この辺りまでは多くの方が納得するではないでしょうか。
しかし、まだ日本より上の国があります。マレーシア(32位)、タイ(33位)と続いて、ようやく日本が登場します。つまり、もはや日本の競争力はマレーシアやタイに負けているのです。「そこまで落ちたのか」ではなく、東南アジア各国が急速に競争力をつけてきているのです。
さらに日本の下にはインドネシア(44位)が迫りつつあります。インドネシアは人口2.7億人で、しかも平均年齢が30歳という若い国です。このメルマガでも数度ご紹介したTokopediaやGoJek(両社は合併をしてGoToとなりました)などのユニークなテック企業も生まれてきています。日本のライバルは、もはやマレーシア、タイ、インドネシアなのだということを多くの方に認識をしていただきたいのです。
10年前とは様変わり。急成長するアジアの食品市場
コロナ禍により、休暇に東南アジアに行くこともできなくなっています。また、観光に行ったとしても、多くはツーリストエリアの中で行動をし、なかなか現地のリアルな生活、経済に触れる機会というのは多くはありません。そのため、10年前、20年前の東南アジアのイメージのままアップデートしないで、東南アジア市場を見てしまうという危険性があります。東南アジアの消費者は急速に変わりつつある。その事実を再認識する必要があります。
アジアの食品市場は急成長すると予測されています。「アジア食品市場の挑戦:アジア新消費者群を理解する」(pwc、ラボバンク、テマセク)では、2019年の調査データと2030年の予測データを比較しています。
アジアの食品市場の2019年の調査データと2030年の予測データでは、東南アジア市場は2倍近い成長をすると予測されています。
2019年では4.0兆ドルだったものが、2030年には6.4兆ドル(約850兆)になると予測されています。量として多いのは、人口の多い中国ですが、伸び率が高いのは東南アジアです。0.6兆ドルから1.1兆ドルへと、ほぼ倍増すると予測されています。
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