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食品市場もガラパゴス。日本人だけが気づいていない東南アジアの食品意識の大進化=牧野武文

東南アジアの食品市場が伸びている4つの要因

これには4つの要因があります。

1)人口増加

現在のアジアの人口は45億人ですが、アジア全体では人口増加が続いていて2030年までの10年間で2.5億人が増加すると予測されています。日本、韓国、中国という先進国ではすでに人口減少のモードに入っているので、人口増加の主な要因は東南アジアです。

2)核家族化の拡大

アジア圏は伝統的に三世代が同じ家に住む大家族社会でしたが、都市化が進むと核家族化をしていくのは、すでに日本や韓国が経験をしています。中国でも核家族化が進み、最新の第7次人口普査では、平均の世帯人数が2.62人と、人口普査での最低値となりました。10年前は3.1人で、中国でも急速に核家族化が進んでいます。今後、東南アジアでも同様の現象が進んでいくと見られています。

3)女性の社会進出

東南アジアでは女性の25歳から54歳の女性の就業率が順調に伸びています。一方で、15歳から24歳の若い女性の就業率は下がっています。これは、女性が高等教育を受けるようになり、高等教育を卒業してから労働市場に参加しているということを示しています。

4)中産階級の拡大

このような結果、女性も高等教育を受けて就業するようになり、収入水準が上がり、経済的に余裕のある中産階級が拡大をしています。都市化が進むことにより、核家族化が進み、男性と女性の高収入の共働き家庭が増え、いわゆる経済的に余裕のある中産階級が拡大をしています。

品質を重視するタイ、インドネシア、価格を重視する日本、香港

この結果、品質と価格のどちらを重要視するかの意識が変わりつつあります。経済成長が始まる以前の状況では、そもそも食品の量、選択肢とも少なく、手に入るものを手に入れるしかありませんでした。経済成長が進み、食品の供給量が増えてくると、多くの場合は「少しでも安いものを」と価格を重要視するようになります。

それがさらに成熟をすると、「少しでも美味しいものを」「少しでも安全なものを」と品質を重視するようになります。

各国の消費者に、食材を購入するときに新鮮さ(品質)と価格のいずれを重視するかを尋ねた結果、品質重視をするのは中国、タイ、インドネシア、ミャンマーなど。

一方、価格重視なのは日本、香港、ニュージーランド、オーストラリア。

中国、タイ、インドネシア、ミャンマーでは、すでに品質を重視するようになっています。

一方、日本、香港、ニュージーランド、オーストラリアでは、価格を重視する傾向があります。これは、先進地域では品質の高い食材が購入できることが当たり前になっているため、品質の高い食材の中でさらに安いものを求めたいという、ひとつ上の次元の意識になっているのではないかと想像できます。

いずれにしても、東南アジア各国で、食材の品質が重要になっていることは確かです。

Next: アジアで起きている食材に対する6つのトレンド

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