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食品市場もガラパゴス。日本人だけが気づいていない東南アジアの食品意識の大進化=牧野武文

中国、インドネシア、タイでは、野菜、果物が増え、肉類は減少

さらにその他の食材についても、同様に「この3年間で増えたか減ったか」を尋ねた結果、野菜、果物が増え、肉類が減っていることがわかりました。

特に、中国、インドネシア、タイの3カ国は変化が極端です。この3カ国は、健康意識のアンケートも上位にきており、健康意識が高まり、実際に食生活が大きく変化をしていることがうかがわれます。

2)の栄養素志向は、大昔のような「カロリーを取る」ということではなく、タンパク質、脂質、炭水化物の三大栄養素、その他の食物繊維やビタミン類などの健康効果を理解し、必要な栄養素をバランスよく取れるように食材を購入するということです。

次のアンケートは、「食材を購入する前に栄養素について理解をし、その健康への影響を考えて購入するかどうか」を尋ねた結果、食材の栄養素の健康効果を考えて食材を購入している人の割合は、やはり、中国、インドネシア、タイが上位にくきます。

ここでも中国が1位にきます。半数以上の消費者が食材の栄養素を考え、購入をしているというのはかなり驚きますが、スーパーなどでも各栄養素の健康効果を解説したポップ、チラシを置くことは珍しくはありません。そのような解説をすることで、質の高い食材が適正価格で売ることができるというビジネス上の効果もあるのだと思います。

日本では「○○に含まれている××という栄養素が血液サラサラ効果がある」とメディアで報じられると、その食材が売り切れるという現象が起きますが、長続きはしません。いわゆる一時的なブームで終わってしまう傾向があります。

アジア圏の消費者は、情報ソースは書籍、テレビ、ネットのサイト、SNSかもしれませんが──(中略)

食品のオンライン化で遅れを取った日本

アジアの消費者の食品に対する意識は急速に変わってきていますが、それを支えるテクノロジーが普及したことと無関係ではありません。オフライン購入しか手段がない時代は、自分が移動できる範囲でしか選択肢がありませんでしたが、オンライン購入ができるようになったことで一気に選択肢が広がりました。そして、経済成長により収入も上がり続けています。そうなれば、自分がいいと思う健康志向や環境志向に基づいた消費行動をとるようになるのは当たり前と言えば当たり前です。

一方、日本は、オフライン経済の時代にかなり完成度の高い仕組みを築いてしまいました。例えば、今、スマホを持たずに暮らしたとしても、都市部であれば生活上は何も問題がありません。近所にスーパーとコンビニはありますし、交通カードで電車に乗れば、大きなショッピングセンターに行くこともできます。決済だって、ATMはまだあちこちにあるので現金でもそう不便ではありません。

日本のオフライン経済の完成度は世界でもトップレベルで、スマホ以前の時代には、東京は生活に便利な都市として世界中から認知されていました。この便利さは今でも変わっていません。そして、私たちはそれにほぼ満足をしてしまっています。これが、日本をオンライン経済に向かわせない要因になっています。

一方、中国を始め、アジア各国は、オフライン経済は都市の中心部以外では快適とは言えない状況であったため、オンライン経済が一気に浸透をしています。私たちは、このような独自なポジションに置かれているということをしっかりと認識してアジアをウォッチする必要があります。

Next: アジアから見下される日本の食品市場

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