放たれた金融危機の引き金
また、Fed(米連銀)は利上げと共に米国債やモーゲージ債(住宅ローンを証券化したもの)の保有残高を減らすプロセス、QT(Quantitative Tightening:量的引き締め)も実行中です。
このQTは、世の中のおカネをFedが吸収するという意味を持ちます。市中のおカネが減れば文字通りカネ回りは滞ります。
金融市場では、信用力に応じて求められる追加の金利、スプレッドの拡大という形で現れ
ます。金融機関同士の取引にてカネ回りの悪さを見越した上で求められる流動性スプレッドの拡大という事象も起こりがちです。
これら信用・流動性スプレッドの拡大は、理屈はともかく、市場金利上昇を意味します。しかも、おカネを借り難い、信用力の低いところほど、金利(スプレッド)上昇幅は大きくなります。
この影響は十中八九顕在化します。過去の例だと早ければ今年の年末に掛けて、遅くても向こう1~2年のうちに出るはずです。
これが得てして金融危機の引き金となりがちです。
パウエル議長の「不退転の決意」が、この引き金とならないか、今秋以降はこの辺りへの注目が高まりそうです。
まとめ
・パウエルFRB議長、インフレ退治の利上げに不退転の決意を表明
・ボルカー元FRB議長を例に挙げている点もインフレファイターを印象付ける
・今秋以降、信用・流動性スプレッドへの警戒が高まります
Image by:Zwiebackesser/ Shutterstock.com
『徒然なる古今東西』(2022年8月29日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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