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リーマンショック再来はない。何年ぶり・何ヶ月ぶりの“ぶりぶり”連発は相場反転の兆し。キャッシュポジションを高めて参戦準備を=山崎和邦

何年ぶり、何ヶ月ぶりという荒れた相場が広がっているが、こういう時は相場の転機を迎えることが多い。リーマンショックの危機の記憶が蘇ると日経新聞は指摘しているが、あのときとはまったく状況が異なる。我々投資家は、キャッシュを握りしめ、いつでも相場に参戦できる身構えをしておくべきだ。(「週報 「投機の流儀 (罫線・資料付)」*相場を読み解く」山崎和邦)

※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報 「投機の流儀 (罫線・資料付)」*相場を読み解く』2022年10月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に購読をどうぞ。

プロフィール:山崎和邦(やまざき かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴61年、前半は野村証券で投資家の資金を運用する「セルサイド」、後半は自己資金で金融運用する「バイサイド」、晩年は現役研究者と、3つの立場で語ることを信条とする。2022年85歳で国際コミュニケーション学博士号を取得。

先週の市況コメント

先週末の米国市場では、NYダウは終値2万8,725ドル前日比500(1.7%)安、ナスダック指数は1万0575ポイント前日比161(1.5%)安となった。

な、CME日経先物は2万5,870円と、週末終値から70円程度の下落で取引を終えている。

ダウ構成銘柄のナイキが減益決算で▲12%安と、一銘柄だけでダウを80ドル押し下げた。サイクル面では、徐々に米国市場は逆業績相場の色彩が強まってきている中、14日(金)にはシティG、JPモルガンなど決算発表の本格化となってくる。

(各種データから作成)

(各種データから作成)

(各種データから作成)

(各種データから作成)

週末兼、月末の9月30日は、どういう日だったのか

9月いっぱいの日経平均株価は月間で2,154円幅の下落、そのうちの485円幅は週末の日だった。下げ幅でこの値は2年半ぶりである。

そう、コロナショックの大底に向かう2020年3月以来のことだ。「売って資金ポジションを高めにとっておこうと長期間呼びかけてきたのは、この一日に買うためだ」と本稿にしては珍しく檄を飛ばしたあの頃(2020年3月15日号)、大底は2020年3月19日の1万6,500円、それ以来の下げ幅である。

翻って、4月~9月の半年の下げ幅は21年ぶりの下げ幅となった。そう、ITバブル崩壊の時以来である。米FRBの利上げ・円安進行の一服・企業業績の悪化懸念等によって、投資家が株の保有比率を引き下げ、大幅な下落幅になった。

月末は3ヶ月ぶりに2万6,000円を割り込んで、10月の新期を迎えた。前々期末3月31日に比べて1,884円幅の下値となり、2001年の4月~9月(ITバブルの下げ)以来の下落幅となった。

さて、下落率で見ると2007年以来、7年ぶりとなった。そう、リーマンショックを引き起こす源となった住宅バブルの崩壊から、仏パリバ銀行の危機が報じられて、翌年のリーマン暴落の契機となった時である。

このように今年9月は「ITバブル崩壊以来」とか、「サブプライム崩壊以来」とか、「コロナショック暴落以来」というような、事件性の暴落以来に匹敵する下げを演じたことになった。

下落率が大きかった銘柄は、前半期で上昇率15位以内の住友金属鉱山<5713>・東京エレクトロン<8035>・上昇率トップだった大平洋金属<5541>等である。

言わずもがな、株は上れば下がるのだ。順張り投資の面白さも怖さも、ここにこそあると言い尽きるであろう。

(各種データから作成)

(各種データから作成)

機関投資家の米株保有状況は、コロナ初期以来の低水準

米機関投資家の米株保有状況は9月第3週の29%から、月末には12%に落とした。この保有比率の少なさは22年3月コロナショックの大底近辺以来の低水準となった(全米アクティブ投資家協会、10月1日発表)。

週末の騰落レシオは80.7%で「売られ過ぎ」の水準となったし、日経平均の25日線との乖離率は5.97%と、これまた「売られ過ぎ」のレベルになった。一方で、売買金額は3.8兆円だった。

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中央銀行の株価支えは、今回はアテにできない

先週週初の722円という大幅安で、25日線との乖離は5.5%となり「売られ過ぎのレベルの5%」を超え、また、騰落レシオは80.4%となり「売られ過ぎの段階の80%」を超えた。「三空に向かえ」という古くからの格言があるが、日経平均は四つの窓を開けた。

一方、NYダウの騰落レシオは58%、ナスダックは62%、全体で61%となった。市場内部要因で言えば「売られ過ぎ」の現象が日米ともに生じた。おそらく、日本の投資家が最も現金保有が高いであろうから、押し目買いを待っている勢力も多い。

ところが、海外で金利急騰により、世界で稼ぐ主力株の業績悪が意識され始め、逆張りが報われないシナリオへの目配りが出回るようになってきた。トヨタも半年ぶりの安値に沈んだ。ソニーも1年9ヶ月ぶりの安値を付けた。個人投資家は逆張りを好む。12日~16日の週間では、日経平均が600円下落した時に、個人投資家は相当に買い越した。日本の個人投資家は世界で一番現金保有率が高いと思う。今年は、今までは全て逆張り投資が成功してきた。そこで3月安や6月安の局面では、信用買い残が急増した。現在の株安は、金利急騰による、海外企業の信用不安リスクを織り込みつつある。

2008年のリーマンショック以降、景気悪化が懸念される局面では、中央銀行が金融緩和で株式相場を支える力があったが、今回のFRBは景気を犠牲にしてでもインフレを退治する姿勢を鮮明にしている。株価支えはアテにならない。やはり、現金保有率はある程度確保しておきたい。

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