リスキリングで何を学ぶか?
リスキリングで何を学ぶかであるが、リスキリングの概念は広義では幅広い分野での学び直しということではあるのだが、昨今使われているリスキリングの主な趣旨は「DX時代に対応できるような学び直し」ということである。
日本企業の多くは、OJT(オン・ザ・ジョブ)教育というものを行っており、リスキリングとOJTはどう違うのか?という疑問は多く見られる。
OJTはあくまで「今ある仕事」を前提でスキルを獲得するものであるのに対し、リスキリングは「今ない仕事」を前提としたスキルの獲得という点が異なる。
要するに「まったく新しい分野に挑戦できるか」ということである。
DXスキルと普遍的なビジネススキルを身に着けられるかが重要
オックスフォード大学の調査では、DXの進展により、今後20年間で今ある仕事の49%が消えるという結果が出ている。
身近なところでもすでに変化は出始めており、例えばコンビニやスーパーマーケットのレジも無人化しつつあり、レストランでは配膳係が徐々に配膳ロボットに取って代わられている。
AIがより進化していけば、電話対応なども今までコールセンターの人員が100名必要だったものが、AIが対応し、5名程度の管理者がそれを管理するという時代になってくる(すでに一部ではそうなっているのだが)。
このようなDXによる変化に対応できる人材でなければ、今後は仕事自体がなくなってしまうということであり、リスキリングの主眼がDXスキルに置かれているのも、このような時代の変化が予想されているからである。
もう1つ重要なのは、「普遍的なビジネススキル」を身に着けられるかである。
普遍的なビジネススキルとは、仮にまったく経験のないビジネス分野のマネージャーを任されたとしても、短期間でキャッチアップし、組織を回すことができるスキルのことである。
日本企業では、「その企業でしか通用しないようなスキル」を学ばせるということが多いが、このスキルは労働市場では、ほぼ無価値と言ってもよい。
特定の企業のみではなくどの企業でも通用し、仮にまったく未経験の分野を任されたとしても、ビジネスマンとしての能力を発揮できるようなスキルが重要なのである。
米国では、CEOのような経営層は他社からヘッドハンティングするようなケースも多いが、複数の業種のCEOを渡り歩くような経営者は、この「普遍的なビジネススキル」が途轍もなく優れている人物が多い。
端的に言うと、「優秀な人材は、どこにいっても優秀」ということである。