NHKの受信料徴収の訪問業務を請け負っていた仙台市内の会社が、今年7日付で仙台地裁から破産手続きの開始決定を受けていたと報じられたことが、大きな波紋を呼んでいる。
報道によると、破産したのは仙台市の広告代理店「cocodeTV」で、14年5月にNHKと業務委託契約を締結。山形県内において、NHK受信料徴収のための訪問業務を請け負っていたとのことだ。
ラーメン店などの経営も行っていたという同社は、2018年6月期には約1億9100万円の売上高を計上していたものの、新型コロナの影響で飲食業の売り上げが減少したうえに、NHK受信料の戸別訪問も控えることになったことから、今年6月期の売上高は約9800万円にまで落ち込み、債務超過に陥っていたという。
NHK受信料徴収以外に夜の街の無料案内所も経営か
つい先日にはミシン大手のジャノメが、長らく続けていた訪問販売事業から撤退することを表明し大きな波紋を呼ぶなど、かつては当たり前だった訪問営業といスタイルが、いよいよ絶滅へと向かっていることを感じさせるニュースが相次いでいる今日この頃。
ましてやNHK受信料に関しては、一部からは「電波の押し売り」とも評されるなど、なかば強制的に料金を徴収されることに、かねてから疑問や批判の声も根強いうえに、その訪問営業に関しても、2010年あたりより外部委託を進めていく流れが顕著になっていくなかで、「女性の単身世帯に深夜に訪問する」「訪問員が名前や訪問目的を言わない」などの様々な相談が、消費生活センターに多く寄せられる事態に。
果ては、NHK側は否定しているものの、NHKの集金人が腹いせに家の外で立ち小便したという動画も出回り、大騒ぎになったことも過去にはあるなど、その強引かつ無法な手法が以前から問題視されていた。
そんないろんな意味で悪評が高かった受信料徴収の代行業者が、あえなく破産したというニュースだけに、SNS上では「ザマァ」といった声も多いわけだが、そのいっぽうで今回取沙汰されているcocodeTVに関しては、NHK受信料の徴収代行業以外に、夜の街でよく見かけるキャバクラやセクキャバなどの無料案内所も、仙台市内において手掛けていたという“裏の顔”も、SNS上では大いに取沙汰されているようだ。
NHK受信料の徴収業者が破産 コロナ禍で戸別訪問控え、売上高低迷 #ldnews https://t.co/E06DKUAw20 ?ここあれだよ。NHK受信料の業者というか国分町で怪しい店の無料案内所やってる会社だよwww pic.twitter.com/cOJlOXQVwy
— キラッとれとにゃん (@letra_update) October 23, 2022
NHK受信料の徴収業者が破産 コロナ禍で戸別訪問控え、売上高低迷(朝日新聞デジタル)https://t.co/rDov4vv6Sa
地元紙の河北新報の記事では「仙台市中心部の繁華街で飲食店無料案内所を運営していた広告代理店」とある。あとは、お察しくださいという感じ。— 神宮の杜の主 (@preciousletter) October 23, 2022
かつては“おいしい商材”として参入が相次いだ受信料徴収代行
NHKが2009年にその外部委託を始めて以来、人材派遣や通信、不動産など多種多様な業種が参入してきたという受信料収納業務。
参画にはまず入札に勝ち抜く必要があるものの、一度決まれば他社と競合することを気にすること無く業務に打ち込め、さらに扱うものが、誰もがその存在を知るうえに法律で契約が義務づけられている“NHK受信料”なだけに、安定した収益確保が見込めるという、いわゆる“おいしい商材”として注目され、参入が相次いだようだ。
ちなみにNHKは、代行業者に課しているノルマの内容、さらには代行業者の“取り分”などといった委託費の詳細は、公にしていない模様である。
とはいえ先述のような数々の苦情や、近年のコロナ禍で戸別訪問もままならない状況も大いに影響してか、最近では受信料の契約や徴収を訪問以外の手段に切り替え、訪問営業の業者委託に関しては23年秋で全廃するという方針に。
今回破産が報じられたcocodeTVは、そんなNHK受信料徴収の代行業務が無くなる流れにくわえ、夜の街の無料案内所もここ近年はさっぱりダメといった、コロナ禍のダブルパンチで破産に至ったわけだが、今後は同社と同様に参入してきた代行業者に関しても、ある意味で“おいしい”事業だった受信料徴収事業に軸足を置きすぎばかりに、同じような命運を辿るといったところが続出しそうな情勢だ。
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