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「10倍株」のレーザーテック、ピークから大きく下げた今は買いか?急成長の要因と反動、今後の半導体業界での立ち位置とは=栫井駿介

ガチンコ勝負になるか

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一方でその中で、EUV光を用いた検査装置というのは、レーザーテックの独壇場だったわけです。
KLAがそこに参入しないかというと、やはり美味しい市場であることも確かですから、参入してくるのではないかというのが大方の見方です。

しかも1回その開発に着手すると、一般的にこういった企業は売上高の5%、10%といったところで研究開発費を投入して開発を行うのですが、そもそも売上高が全然違います。

だから、KLAがレーザーテックと同じものを開発しようと思ったら、資金力がものすごい大きいわけです。

従ってまだ確定はしてないですが、やがて参入してくるというのは時間の問題ではないかと見られています。

今シェアが100%ですが、100%ではなくなるのです。
当然市場がとられてしまうということも考えられるでしょう。

場合によっては、レーザーテックの一歩前に行く可能性。
もちろんKLAとしては、一歩前に行くことを目指して開発を進めると思います。

やはりここの競合は免れないということになってきます。

そんな中、レーザーテックとしては、当然ここの技術を磨き続けるというのはもちろん。
また新たに当社が力を発揮できる、ほかの会社ができないものを作り続けるというのが、経営的には必要になってくるわけです。

長期投資の心得

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最後に「レーザーテックに長期投資するかどうか」という今回のテーマに対する答えです。

<目先は業績悪化に向かう可能性が高い>

需要はそろそろ一巡するんじゃないかということが考えられます。

半導体市況も昨年までのように、たくさん工場投資するというような状況では当然なくなってきますので、市場的には一時落ち込むということは想定される。
競争環境でみてもKLAの参入で、これまでほどうまい汁が吸えるわけではない。

そもそもこの半導体製造装置、レーザーテックの業績の特性としてはアップダウンが激しい。
大きくアップした後は、やはり大きなダウンも想定しなければならない。

ということで、目先は業績悪化に向かう可能性が高いと考えてます。

今期の2023年6月期予想は、まだ増収増益ですが、その先どうなるか、1年・2年先というのはわかりません。

<長期的には半導体市場は拡大する公算が高い>

一方で、この長期的な観点で見ると、半導体市場はこれから5Gなど様々なITが導入されることによって(半導体は常に必要ですから)市場自体は拡大する公算が高いというのもあります。

レーザーテックはその拡大する市場において、独自のポジションを築いているわけです。
ゆえに基本的には業績伸びていく、長期的に見れば、成長する可能性が高いと考えています。

強いて言うならば、細かいところで言うと「微細化の限界」です。
今、3nmとか2nmっていうところまで小さくなってるのですが、これ以上は厳しいんじゃないかというようなことを言われています。
そうなってくると、今度は積層加工、立体的に積んでいくみたいな話になります。

そのときに今までレーザーテックが得意としてきた微細化のための検査、EUV光による検査があんまり必要なくなってくるのではないか?みたいな話も、細かいところではあったりします。
その辺の技術は、ここでは触れないのですが、見ていく必要があるかと思います。

当然レーザーテックとしては、それに関係なく必要とされるものを作っていくこともあると思います。

そして次の15年。
小林社長が2009年に就任してから15年がまもなく経とうとしていますが、次の15年も愚直に同じように研究開発を貫けば、成長は十分に可能。

内部にもそれだけのものが蓄積されていると思いますし、優秀な人材がいればまた良い開発を続けられる。
逆に優秀な人材を取り続けるというところが、この会社の宿命でもあるわけです。

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