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なぜ日本は衰退途上国になってしまったのか?30年間で日本を弱体化させた“ゆとり教育”と“円高”という米国の悪巧み=山崎和邦

この30年間に日本が弱くなった三つの背景

日本経済が高度成長を維持して、日本企業が世界を席巻する勢いの時は、日本型の長所を認める論考が多かった。特にアメリカ発の日本型経営の賛美が流行った。これに対して、90年以降は川に落ちた犬を叩くが如く、日本型を否定する経済システムと捉える議論が圧倒的に多くなってきた。そして、最近は財政規律に対する批判が一種の流行になっている。それを脱するにはどうすれば良いかということはあまり論じられていない。

筆者は日本経済にかつての成功をもたらした、基本的な長所が失われているような感じがする。決して懐古主義に陥っているつもりはない。しかし、過去の良いところは大いに参考にして、歴史に学ぶべきであろう。日本国民に固有の基本的な長所が、この30年間で失われたわけではない。また、日本人がこの30年間で急に馬鹿になったわけでもない。

ただし、国際的な客観基準で調べる国際競争力の日本の順位は、90年には世界2位だったが、今は22位になっている。これは筆者のひがみかもしれないが、レーガン時代に日本を弱体化させる策略をめぐらしたことによる面があるような気がする。

1:1985年のプラザ合意である。円高で日本を弱らせる方法である。

2:「ゆとり教育」と称する「手抜き教育」である。

人のいい日本はやすやすと乗っかった。後者は日本側で気がついて途中で修正したけれども、元通りになったわけではない。手抜き教育を受けた者が、今の教育者になっている。これも多少は影響がある。アメリカにしてやられた。アメリカは、今では日本は強くあって欲しいと願っているが、過去にそういう経緯があった。

官僚イビリで弱体化した日本

大きいのは日本発の自ら撒いた種だ。官僚を冷遇した。内閣人事院を作って、盛んに官僚の幹部をいじくった。菅(すが)元総理は、安倍内閣の官房長官として高級官僚を盛んにイビッた。したがって総理になっても官僚は支持しなかった。1年で止めざるを得なかったのは自ら撒いた種だ。

日本にはCIAやKGBのような組織はない。全ての情報は官僚に集まる。国内は許認可関係を通して、海外は大使館出向者や現地駐在者を通して、全てが官僚に集まる、そして頭のいいアンビシャスな連中が霞ヶ関に集まった。

彼らを国費で東大を出させた。これを利用しない手はない。ほとんどすべては官僚の情報と知恵から出たと言って過言ではない。官僚をうまく使った総理が大仕事をした。吉田・岸・池田・佐藤・中曽根である。宮澤元総理は経済通で全てを分かっていながら、官僚の「先延ばし政策」に阻まれた。日本を悪くしたのも官僚であったといえるが、不良債権処理の遅れと「失われた13年」は、その官僚の介入を抑止できなかった宏池会の弱さにあった。

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