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現役世代の9割はまともな介護施設に入れない。老後に待ち受ける格安・無届け老人ホームの虐待地獄=神樹兵輔

日本の平均寿命は伸びていますが、健康寿命となると、男性は72歳、女性は81歳です。多くの老人は要介護となっているのが現実です。しかし、ケアの行き届いた介護施設は入所金も高額。老後生活には2,000万円の貯金が必要という話がありましたが、その貯金と年金だけでは、普通の介護施設にすら入れないという危機的状況に日本はあります神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』)

※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2022年11月21日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:神樹兵輔(かみき へいすけ)
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

増え続ける要介護の高齢者

みなさま、こんにちは。「衰退ニッポンの暗黒地図」をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき へいすけ)です。今回のテーマは、「介護が必要になっても介護施設に入れない日本人老後の危機的状況」というテーマでお届けしたいと思います。

ところで、平均寿命とは異なる概念の「健康寿命」という言葉をご存じでしょうか。「健康寿命」とは、WHO(世界保健機関)の定義では、「平均寿命」から疾病、衰弱、認知症などの要支援や要介護を必要とする「健康でない状態」の期間を差し引いたものになります。

たとえば、日本人の「平均寿命」は、男性81歳、女性87歳ですが、「健康寿命」は男性72歳、女性74歳です。誰もが死ぬ直前までずっと健康でいられるわけではないのです。

老後に到れば、いずれかの時点で、介助や介護が必要になる時がくるでしょう。それが、同年代の約半数の人が、疾病などで何らかの障害を抱えることになる「健康寿命」という年齢なのです。

65歳以上高齢者の数は、今のところ年々増え続けています。2022年時点で、3627万人となり(人口比29.1%)、前年比で6万人増加しました。70歳以上の高齢者の数も、このうち2,872万人となり(人口比23.0%)、前年比で39万人増加しています。医療費約44兆円のうち、半分が65歳以上高齢者の支出で占められ、このまま放っておくと、毎年1兆円が増え続ける見込みです。

年金だけでは「介護付老人ホーム」にも入れない

ところで、無職の65歳以上高齢者夫婦の平均年金受給額は、約19.6万円です。そして、夫婦2人の貯蓄が1,000万円未満という世帯が半数を占めています。

この19.6万円の内訳は、夫の基礎年金約5.6万円と厚生年金約9万円の合計額で約14.6万円、これに専業主婦だった妻の基礎年金約5万円が加わったものになっています。

いっぽう、これとは異なり、共働きだった夫婦の場合では、平均年金受給額は、約27万円になります。

これらのデータは、いずれも現役時代に平均的給与を受け取っていた場合における65歳以上高齢者夫婦の平均受給額です。

こうした年金受給レベルのケースで考えると、夫婦の一方が要介護になっても、前述のリーズナブルな介護老人施設でさえ入れない現実が浮かび上がります。<中略>

2019年に問題視された老後2,000万円程度の貯蓄でも、長い老後生活では心もとない……ということになるのです。

Next: 年金も乏しく、身寄りもなく、貯蓄のない老人はどうなるのか?

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