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安物しか買えない日本人を騙す「ステルス値上げ」の卑劣さ。弁当の上げ底ほか“負の企業努力”が日本を粗悪国家にした=鈴木傾城

弁当の容器は、消費税が上がるたびにひと回り小さくなる

パッケージを小さくして内容物を減らして「新しいパッケージになりました!」と宣伝する行為も目立つ。黙って内容物を減らしたら苦情がくるので、仕方なく既存の商品が何か新しくなったように見せかけて内容物を減らしていく。あるいは商品の素材の質を落としていく。

これは商品のリニューアルなのでステルス値上げには入らないかもしれない。しかし、新しいパッケージになったら間違いなく内容物が減っているか商品が劣化してしまっているので、消費者は不信感の塊になって「また新登場のフリをして細工をしやがった」と気づく。

そうやって消費者とメーカーの騙し合いが起こるようになっている。

コンビニでは弁当なども、どんどん商品が劣化していることが分かっている。弁当を入れるプラスチックの容器なのだが、これがありとあらゆる「内容物減らし」の工夫ばかりとなっているのである。

セブンイレブンが一番ひどいと言われているのだが、どこのコンビニやスーパーでも事情は変わらない。ステルス値上げのために「いかに内容物が減っていないように見せかけて減らすか」に血道を上げている。

弁当の容器は「消費税が上がるたびにひと回り小さくなる」と揶揄されているのだが、それは気のせいではない。本当に消費税が上がるたびにコンビニは弁当の内容物を減らしている。

まず容器が小さくなる。そして、上げ底にされる。

上げ底だと弁当を持った時にバレることもあるので、容器を二重にして内側の部分だけを上げ底にしているようなものもある。あるいは、ただの上げ底ではなく底の部分を傾斜させて上げ底だと分からないようにしているものもある。

その上で内容物も以前に比べて減らしていく。素材も安物や粗悪品にしたり、点数を減らしたりする。

消費者を「騙す」ために企業努力がなされている日本

これが、今の日本で起こっていることなのである。消費者を「騙す」ために企業努力がなされている。消費者を騙すためのイノベーションが進められている。ステルス値上げの努力というのは、そういうものなのだ。

上げ底パッケージ・内容物減らし・粗悪品・劣化品・手抜き品に邁進する日本企業が大量に出現し、コンビニがそれを売る。まさに最悪の展開がデフレ経済の中で進んでいたと見るべきだろう。

日本社会は、こうしたところから徐々に徐々に劣化し、消費者をだまして儲けるダメな国になってきている。

ステルス値上げは徐々に徐々に行われるので、消費者は慣れっこになって見過ごしてしまうのだろうが、日本の社会がそうやって劣化し続けているというのは絶対に忘れてはいけない現象だ。

弁当の上げ底容器なんかは、詐欺のイノベーション・劣化のイノベーション・負のイノベーションなのである。日本は成長できない国になって、商品を劣化させるための間違ったイノベーションに走っているのだ。

Next: 人々が安物しか買えないので、日本企業は商品を劣化させていった…

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