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安物しか買えない日本人を騙す「ステルス値上げ」の卑劣さ。弁当の上げ底ほか“負の企業努力”が日本を粗悪国家にした=鈴木傾城

弁当の上げ底容器なんかは、詐欺のイノベーション・劣化のイノベーション・負のイノベーションなのである。日本は成長できない国になって、商品を劣化させるための間違ったイノベーションに走っているのだ。それにしても、あまりにも嘆かわしい社会の劣化ではないか……。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

安物しか買えない日本人が増えて起こること

日本は1995年からほとんど成長していない。内閣府が出している実質GDP成長率を見ると、平均0.9%であることでもそれが分かる。日本は成長どころか、しばしば実質GDP成長率がマイナスに突入するような国なのである。

他の国が経済成長しているのに、日本だけが経済成長していないと言うことをであれば、それは退化を意味している。

別に日本はウクライナのように戦争をしているわけでもなく、アフリカのように内戦が起きているわけでもない。そして日本企業は成長しようともがいているし、日本人は世界的に見ても優秀な人が多い。

それでも日本が経済成長していないのは、ひとえに日本の政治だけが優秀ではないからでもある。

日本政府はバブル崩壊以後、もう30年近くも経つのに、日本を経済成長させられなかった。それが日本の問題なのである。

ゆえに日本の実質賃金も上がらなかった。実質賃金は1997年からひたすら右肩下がりとなっている。OECDの平均賃金から見ても、日本はズルズルとすべり落ちていて、いまやイタリアにも抜かれてしまったほどなのだ。

平均年収が186万円以下の低所得層も約1,200万人に増えてしまい、このまま政治の無策が続けばもっと貧困層が増えてしまうだろう。

その結果、何が起きているのか。安物しか買えない日本人が社会を覆い尽くすようになり、日本企業がだんだんおかしくなってきた。「奇妙なこと」をやるようになってきたのである。

「ステルス値上げ」という行為を通して消費者を騙す?

「ステルス値上げ」という言葉が流行るようになって久しい。

ステルス値上げというのは「商品が一見前と何も変わらないように見せかけて、実は内容量やサイズを縮小させ、実質的な値上げを行うこと」である。

要するに価格は今までと同じなのだが、内容物が減っていたり、内容物が安物に入れ替わっていたりするのである。

なぜ、こんなことになっているのかというと、日本で貧困層が増えるのと同時に年金生活者が約4,000万人を超えるようになって、値上げすると批判が飛んできてモノが売れなくなってしまうからである。

材料費は上がったり、エネルギー価格が上がったりしているのだが、日本ではそれを価格に転嫁する余裕が社会になくなってしまっている。だから、メーカーは苦肉の策として「ステルス値上げ」をするようになっていったのである。

ある外国人がインバウンドで楽しみに日本に来てコンビニでサンドイッチを買ったら、「見えるところだけ具があって、見えないところにはほとんど具がなかった」と失望して「日本に騙された」と嘆く投稿もSNSにあった。

そうなのだ。ステルス値上げというのは、メーカーにとっては苦肉の策の対応方法なのだが、これは「商品が一見前と何も変わらないように見せかけて内容を減らす」行為なのだから、実質的には商品の劣化に他ならない。

消費者に分からないようにやっているわけで、これは完全に消費者を騙す行為なのである。日本のメーカーは「ステルス値上げ」という行為を通して消費者を騙すようになってきているのだ。

メーカーからしたら「値上げさせてくれないのだから仕方がない」という言い分になるのだが、消費者側から見たらステルス値上げをされてメーカーに騙されたという不信感になっていく。

日本社会が成長しないことによって、日本企業が消費者を騙すようになり、社会の質が劣化してしまっている。

Next: なぜ消費者を騙す?弁当の容器は、消費税が上がるたびに小さくなる

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