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来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米10-12月期決算、米ISM景気指数、米雇用統計

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■株式相場見通し

予想レンジ:上限28000円−下限26500円

来週の東京株式市場は神経質な展開か。重要イベントが集中し、2023年相場にとって最初の関門となりそうだ。国内外での10−12月期決算発表が本格化し、週初から週末まで注目企業の決算が目白押しだ。先陣を切った日本電産<6594>の10−12月期決算は大幅な営業減益となり、一過性要因もあるとはいえ、通期計画は大幅に下方修正された。永守重信最高経営責任者(CEO)は「モーターは経済の指標であり、日本電産の決算だけが悪いということはない、この後に出てくる決算を見れば分かる」といった趣旨のコメントを発した。


また、先んじて発表された米国企業の決算は低調なものが多い印象だ。化学・素材メーカーのスリーエムの10−12月期決算では一株当たり利益(EPS)が市場予想を下回ったほか、営業利益率が予想を大きく下振れ、今期の通期見通しも予想に届かず、株価は大幅に下落した。半導体では、テキサス・インスツルメンツとラム・リサーチの1−3月期見通しが、共に売上高とEPSが市場予想を下回った。特にラム・リサーチの見通しは大幅な下振れで、1−3月期には1300人の人員削減も行うと発表しており、半導体市況の年後半からの回復に疑念をもたらす内容となった。


GAFAMの一角であるマイクロソフトの決算も冴えなかった。10−12月期売上高は前年同期比2%増と四半期ベースとしては2017年度以来の低い伸びにとどまったほか、成長を支えてきたクラウド事業の増収率も鈍化傾向が続き、今後の見通しも慎重なものだった。こうした中、国内外の半導体を中心としたハイテク企業の決算と、残るGAFAMの決算は非常に注目される。低調な内容となれば、投資家心理の悪化は避けられないだろう。


米国では経済指標の発表も多い。コンファレンスボードの消費者信頼感指数や、供給管理協会(ISM)が発表する製造業および非製造業(サービス業)の景気指数のほか、雇用動態調査(JOLTS)の求人件数や雇用統計などの雇用指標が相次いで発表される。ISM製造業景気指数は昨年11月分からすでに景況感の縮小を意味する50割れが続いており、底堅いと言われてきたサービス業の景気指数も昨年12月には50割れへと急低下した。


今回の1月のISM製造業景気指数は48.1と前月(48.4)からの悪化が見込まれている。下振れ度合いによっては景気後退懸念が再燃する恐れがあろう。また、ISMサービス業景気指数については、1月は50.4と前月(49.6)から回復する見込み。前月の50割れについては、米国を襲った大寒波の影響との指摘もあるが、小売売上高が2カ月連続で前月比マイナスとなっている中、消費者センチメントの悪化による影響も大きそうだ。ISMサービス業景気指数が今回も50割れとなった場合には、景気後退懸念が再び強まり、株式の売りが膨らみそうだ。注目の雇用統計と合わせて週末の発表となるため、週末にかけては様子見ムードが広がりそうだ。


また、来週は31日から2月1日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。市場では98%の確率で0.25ptの利上げが織り込まれている。実際、これまでの米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言から、利上げ幅自体は予想通りとなるだろう。問題はパウエル議長の記者会見だ。現在、市場は年後半に0.25ptの利下げを約2回も織り込んでいる。しかし、FRB高官の中で年内の利下げを示唆している者は現時点ではいない。この市場とFRBとの間の乖離がどのように埋められるかが焦点となる。


米国で一部の経済指標が減速しているのは確かだが、FRBはもともとインフレ沈静化のためには景気後退は止む無しとのスタンスであるため、景気減速がより深刻にならない限りはさらなるハト派姿勢への転換は望めないだろう。まして、足元で中国経済の再開が進み、コモディティ価格が再び高騰してきている最中である。加えて、賃金インフレのピークアウトが確認されつつも、米国の新規失業保険申請件数が昨年4月下旬以来の低水準を記録し、労働市場の逼迫緩和がまだ本物かどうかも定かではない。年明け以降、株式市場が大きく上昇してきている点も考慮すると、パウエル議長の会見内容はタカ派的なものに寄る可能性が高いだろう。企業決算シーズンの最中であることや、週末に重要指標を控えていることもあり、FOMC後に一本調子で急落することはないとは思うが、会見内容には注意しておきたい。


■為替市場見通し


来週のドル・円は弱含みか。1月31日−2月1日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で利上げ幅は前回の0.50ptから0.25ptに縮小される公算。また、今回の会合で将来的な利上げ休止の是非について議論された場合、米長期金利は低下し、ドル売り要因になりやすい。


経済指標では、1月ISM製造業景気指数や1月雇用統計などが注視されそうだ。直近のPMIは予想を上回ったものの、製造業、サービス業ともに景気の好不況の境目である50を割り込んでいる。製造業については他の統計も悪化し、不透明感が指摘される。1月雇用統計についても、非農業部門雇用者数は前月から減少し、失業率は小幅な上昇が予想されている。このため、雇用情勢の回復は頭打ちとの見方が広がりやすい。主要経済指標が市場予想を下回った場合、リスク回避的なドル売り再開の可能性があろう。


一方、日本銀行は金融緩和政策の継続を強調し、それを支える措置により円安圧力が続く見通し。ただ、今春にかけて日銀正副総裁人事が予定されていることから、中長期的には金融緩和政策の修正が想定されることでリスク回避的なドル売り・円買いが次第に強まる可能性がある。ドル・円の取引では130円超の水準でドルの戻り売りが強まる可能性がある。なお、欧州中央銀行(ECB)が2月2日の理事会で追加利上げを決めた場合、ユーロ買い・ドル売りが強まり、この影響でドル売り・円買いが強まる可能性がある。ただ、ユーロ買い・円売りの取引が増えた場合、ドル・円相場を下支えする可能性も残されている。


■来週の注目スケジュール

1月30日(月):日・令和国民会議(令和臨調)が「政府と日銀の新たな関係構築に向けた緊急提言」発表記者会見、中・株式市場は春節休場明けで取引再開、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(1月)、など

1月31日(火):日・有効求人倍率(12月)、日・鉱工業生産指数(12月)、日・小売売上高(12月)、日・百貨店・スーパー売上高(12月)、日・日銀金融政策決定会合議事録公表(2012年7-12月開催分)、日・消費者態度指数(1月)、中・製造業/非製造業PMI(1月)、米・雇用コスト指数(10-12月)、米・FHFA住宅価格指数(11月)、米・消費者信頼感指数(1月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)(2月1日まで)、国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)改定見通し、など

2月1日(水):日・製造業PMI(1月)、中・財新製造業PMI(1月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(1月)、米・ADP全米雇用報告(1月)、米・求人件数(12月)、米・ISM製造業景況指数(1月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利発表、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見、など

2月2日(木):日・東京国際金融機構がフォーラムを開催、同機構会長の中曽前日銀副総裁、木原官房副長官、清水日銀理事が出席、英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見、米・非農業部門労働生産性(10-12月)、など

2月3日(金):日・サービス業PMI(1月)、中・財新サービス業PMI(1月)、欧・ユーロ圏生産者物価指数(12月)、欧・米・サービス業PMI(1月)、米雇用統計(1月)、米・ISM非製造業景況指数(1月)、など

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