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配当利回り5.6%「ソフトバンク」は買いか?長期投資家が見るべきリスクと3つの判断材料=佐々木悠

今回紹介する企業はソフトバンク<9434>です。消費者にとって馴染みのある企業であり、配当利回りは5.6%。株主数は国内上場企業で第3位を誇る人気銘柄です。企業分析を通して、ソフトバンクの配当は継続するのか?投資のリスクは何かを解説します。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

安定した収益基盤

ソフトバンクは携帯電話事業を営む通信・ICTソリューション企業です。日本でも有数の通信キャリア事業を展開しています。子会社には 「Yahoo! JAPAN」や「LINE」「PayPay」などを運営する「Zホールディングス」を有しています。

同社の事業は大きく4つに分かれています。

<主な事業>

・コンシューマ事業:国内の個人顧客にモバイルサービス「SoftBank」「Y!mobile」「LINEMO」を提供。月額基本使用料・通信料収入・手数料収入などが収入源

・ヤフー・LINE事業:子会社のZホールディングス傘下にLINE、ヤフー、ZOZOTOWNなどが含まれる。Yahoo!とLINEの広告収入やZOZOやヤフオクの各種手数料収入が主な収入源

・法人事業:法人顧客にモバイルサービスを提供。携帯端末レンタル利用料・固定通信サービス・ソリューション等の収入からなる

・流通事業:DX関連のプロダクトやサービスを展開。法人向けクラウド使用量や個人向けモバイルアクセサリーなどの販売料が収入

主要事業はコンシューマ事業(携帯キャリア事業と言い換え)です。携帯キャリア事業では最新のスマホや大容量利用を目的とした高付加価値のSoftbankブランド・低価格でライトユーザー向けのサービスを提供するY!mobileブランド・ライン使い放題でオンラインで手続きが完了するLINEMOブランドがあります。

ソフトバンクユーザーはPayPayのポイント特典を受けられる、Yahoo!の有料プランを利用できるなど、グループ全体でシナジーがあるサービスを提供しています。

<業績>

業績は2018年に旧東証1部へ上場した後、右肩上がりの堅調な業績です。

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出典:各年度有価証券報告書より作成

携帯キャリア事業がこの業績を下支えしています。

22年3月期の利益構成比は携帯キャリア事業が約65%を占め、次いでヤフー・LINE事業が19.2%と続きます。

事業別の利益推移を見ると携帯キャリア事業が常にトップの利益を上げていることが分かります。月額基本使用料などの安定収益が右肩上がりの堅調な収益を支えているのです。

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出典:各年度有価証券報告書より作成

ソフトバンクグループとして事業展開余地は大きい

ソフトバンクのもう1つの特徴は、さまざまな関連会社が存在する事です。

同社の大株主はIT投資会社であるソフトバンクグループ<9984>であり、株式の40%を保有しています。また同社は韓国最大の検索サイトであるNAVERと業務提携を行っており、両社の協業・戦略立案が目的のAホールディングスが続きます。さらにAホールディングスの下にはZOZO・PayPay・LINE・Yahoo!などを経営管理するZホールディングスが存在しています。

図で示すと以下の通りです。

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出典:ソフトバンク、ZHD有価証券報告書より作成

何が言いたいかというと、ソフトバンクの関連企業には魅力的な企業が多いのです。

親会社であるソフトバンクGの投資先である世界的なユニコーン企業と協業により、新規事業を立案・拡大できる環境が整っています。

さらに通信・EC・モビリティ・SNS・決済とジャンルが違う幅広い顧客があるため、新規事業を拡大しやすいことが強みであると考えます。

2018年PayPayを設立し2023年3月期3Qより金融事業(PayPayが中心)が新たに加わりました。今後も携帯事業と連結子会社のシナジーを活かしながら、新たな価値創造を実現する可能性があります。

Next: 積極的な株主還元は継続する?長期投資家が見るべきリスクとは

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