雇用指標は堅調だが強い数字を期待するのは禁物か
それでは、先に発表されている雇用指標の数字を見ながら、今日の展望を考えていきましょう。
新規失業保険申請件数など若干悪化した数字も見受けられますが、非製造業部門、サービス業などは引き続き堅調で、通常であれば問題ない数字を期待したいところでしょう。
ただし、非農業部門雇用者数の数字は前月比であり、季節調整が行われている点に注意したいです。何が言いたいかというと、前月が+51.7万人増と極めて強かったことの反動がありそうなこと、そして、2月は労働者が増えやすい傾向があります。
2月は例年気温が上昇する時期であり、冬が明けて労働意欲が高まりやすい時期でもあります。しかし、今年に限って言えば、米国の1月は記録的暖冬でしたから、新たに就職するタイミングが早まったとも言えます。
つまり、1月は労働者が少ない時期なのに、今年は暖冬で季節調整すると例年より多かったため、1月の雇用統計の強さにつながったということです。
裏を返せば、例年2月は労働者が多くて当たり前の時期なので、ここから上積みがあるかはかなり微妙と言えそうです。
0.5%の利上げは織り込み済み
すでにパウエル議長が利上げペースの加速に言及したことで、0.50%の利上げはある程度織り込まれていますから、よほど強い数字が出れば別として、予想並かちょっと強い程度なら、そこまでドル高にはならないように思います。
逆に、弱い数字が出た場合は、パウエルの豹変、金融政策見通しが大きく変化することになりますから、為替相場としてはドル安ショックになりやすいでしょう。ここ最近はドル高一辺倒だっただけに、反動も大きそうです。
非農業部門雇用者数は+20.5万人増と予想されていますが、前月比であることや季節調整を踏まえると、思わぬ悪化、マイナスすらあり得るかと思います。
どうしても初動は非農業部門雇用者数の数字に引っ張られやすいので、これが弱めなら一気にドル円は下に走りそうです。流石に135.00〜135.50円レベルではサポートされるでしょうが、ここもあっさりなら一気に133円も見えます。
また、133円に行くための条件としては、平均時給(賃金上昇率)の方が重要です。予想では前月比+0.3・前年比+4.7%となっています。前月比では横ばいですが、前年比は1月の+4.4%から伸びが加速すると見られており、実際にそうなれば、仮に非農業部門雇用者数の数字が弱くとも、あまり下げないか、むしろジリジリ上昇する可能性すらあります。
なので、初動の値動きに惑わされず、しっかり平均時給も確認した上でトレードしていくことが重要でしょう。前月比でマイナスとなったり、前年比で1月分を下回ったりするようなことがあれば、仮に非農業部門雇用者数が予想を上回ってもドル円は下方向でしょう。