WBC日本チームの優勝おめでとうございます!素晴らしい大会でしたね。今回は、野球に因んでオリックス<8591>を分析します。オリックスは2023年3月22日現在、株主総数ランキング第5位の個人投資家から人気がある企業です。しかし企業の事業内容については知らない方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、オリックスがどのような事業を展開しているか、また株式保有のメリットや投資リスクについて解説します。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
守備範囲が広いオリックスのポートフォリオ
オリックスは国内最大手の総合リース会社です。1964年に創業し企業の買収と新規事業の立ち上げを繰り返しながら成長してきました。現在、連結子会社は1,000社を超え、様々な事業を展開している、多角化企業です。
売上と利益の推移は概ね右肩上がりです。しかし、コロナ禍で業績が下落した後の回復が遅い印象もあります。

オリックス<8591> 業績(SBI証券提供)
具体的には、10つのセグメントに分かれており、創業事業のリース事業や銀行・保険などの金融分野に加え、海外事業や不動産事業などもあります。
出典:2022年統合報告書
最新の23年3月期第3四半期決算で、最も利益を上げている事業は法人営業・メンテナンス事業です。法人営業・メンテナンス事業は金融・各種手数料ビジネス、自動車及び電子計測器・ICT関連機器のリース及びレンタルを行っています。
次にグローバル株式・債券の資産運用を行うORIX EUROPE、国内再生可能エネルギーサービスや電力小売を行う環境エネルギー事業が続きます。主力は創業当初のリース事業ですが、様々な市場・事業ポートフォリオを構築していることが分かります。
出典:23年3月期第3四半期 決算短信より作成
<個人投資家に人気の株主還元>
75万人もの株主を呼び込む理由の1つは、豪華な株主還元です。
23年3月23日現在の配当利回りは約4%です。
配当政策によれば、配当は前期配当金と配当性向33%のうち高い方を採用します。つまり、利益が増えれば配当金も増えることになり、基本的には減らないことになります。この方針は、2025年3月決算まで継続される予定です。
また、株主優待も人気がありますが、残念ながら2024年3月31日をもって廃止となります。優待内容は、カタログギフトと株主カード(オリックスレンタカーなどを割引で利用できる)の2つです。カタログギフトの価値が5000円相当である場合、現在の株価水準である2100円を基準にすると、総還元利回りは6.5%前後になります。
<海外の投資事業で成長を促す>
オリックスの今後の成長ドライバーは海外にあります。
22年3月期においてセグメント利益に占める海外事業の比率は33%でした。
しかし、昨季は子会社であった会計ソフト大手の弥生を売却しており、その一時的な売却益を除いた場合47%となります。
アジアを中心にリース子会社を主力とする金融事業が主力でしたが、今後は事業投資、アセットマネジメント(不動産投資)を中心に成長する見込みです。
オリックスが考える海外の事業投資とは、会社を買い、成長させて売却する、というビジネスモデルです。例えば、2018年にはアイルランドの航空機リース会社の株式を30%取得し、2021年にはスペインの環境開発エネルギー会社の株式を80%取得するなど、近年本業の金融とは別分野の企業を買収する動きが目立ちます。
この企業投資を成功させるために、オリックスは創業当初から続く金融ノウハウを活用しています。営業チームを主体とするボトムアップアプローチにより投資先を選定し、会計・税務・コンプライアンスの各部署が案件を精査します。そして、5〜7年の出口戦略を想定した収益性(内部収益率など)と効率性(ROA、ROE)を重視した投資を行うことで、投資を成功させることを目指しています。
出典:2022年統合報告書
しかし、この戦略はオリックスを理解する上でより複雑になっていると考えます。次はオリックスに投資する際のリスクを考えていきましょう。
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