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「空き家」全国349万戸、衰退する地方、価値を失う不動産…これらを解決する方法が1つある=鈴木傾城

空き家が増えて爽やかな気持ちになる人はいない。誰も住んでいない家は人の心を陰鬱にさせる。子どもも空き家を本能的に怖がる。恐怖映画でも空き家が舞台となるのは、要するに不気味だからである。しかし、その空き地が都心部でもまるで虫食いのようにポツリポツリと広がっていく。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)※この記事は音声でもお聞きいただけます。

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

「負動産」がじわじわ増えている

不動産投資は、ロケーションや物件を間違えなければ長期に渡って安定的な収益を得ることができる可能性がある。また日本人も長らく続いた持ち家信仰も残っている。そのため、今でも不動産投資は株式投資と並んで非常に大きな投資のウエイトを占めている。

しかし、不動産は地方からじわじわと「負動産」になりつつあり、すでに「タダでもいいから持っていってくれ」という案件もまったく珍しくなくなってきた。

言うまでもなく人口が減少して住宅需要が大きく減少し、過疎化してしまってインフラも失われていくなかで不動産の価格が上昇するわけがない。今、あちこちの地方で問題になっているのは、公共交通機関の路線の廃止や縮小である。

山道や田んぼを縫うように走るローカル線は、のどかな旅情を想起させるが、電車を走らせても乗客が1人だとか2人しかいなければ、営利でやっている企業はその路線を維持できなくなってしまうのは当然のことである。

いくら政府や自治体が支援したとしても、あるいは村起こしに奔走しても、「人口がとめどなく減少していく」という根幹的な問題が解決されないのであれば、公共交通機関は赤字を積み上げて、遅かれ早かれ消失してしまうことになる。

JRなども路線を廃止することは地方を殺すことであるのは重々承知しているわけで、「可能な限り維持して守っていく必要がある」とは言うものの、不採算路線の収益はさらに落ち込んでいき、メンテナンスすらもできなくなる。

人口減を放置したらこんなことになってしまうのは誰が考えても明らかだったが、政治はこの少子高齢化問題をまったく止めようとしなかったし、今ごろになって取り組んでも、もう手遅れな感もある。

京都では全国初の「空き家税」導入も

そんななかで公共の交通機関が廃止されて陸の孤島のようになった市や郡や村はますます人口減になり、不動産の価値がゼロになる。

いや、その不動産を相続した都市に住む子どもたちは、固定資産税を払わなければならなくなることで、ゼロどころかマイナスの「負動産」となってしまう。

2023年3月、京都では「空き家税」が全国初で導入されたのだが、これは「空き家を持っていたら損をする」という状況を人為的に作って、空き家を減らして住環境を整えようとする動きだ。

京都は住宅不足が根底にあるので、この空き家税は「供給が足りないからやっているもの」であり、人口減とは逆の印象を抱く人もいるかもしれない。

しかし、空き家が増えてどうしようもないというのは、高齢化した住民が死去したり高齢者施設に入ったりして住民不在になっているということであり、これもまた少子高齢化が生み出しているものでもある。

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