私が”世界最高の投資家”として尊敬するウォーレン・バフェットが来日し、さらなる日本株への投資を示唆しました。バフェットは日本の5大商社に投資をしていて、買い増しもしています。バフェットはなぜ日本の商社に投資をしたのか、また、商社以外に投資をするとしたらどのような企業があるか、考えてみたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
バフェットが日本の商社に投資するワケ
<日本の5大商社に投資した経緯>
まず、バフェットが日本の5大商社に投資した経緯をまとめます。
- 2020年8月にバフェット率いるバークシャー・ハサウェイが日本の5大商社(三菱・三井・伊藤忠・住友・丸紅)に投資したことが明らかに。出資比率は各社5%。
- 2022年11月にも追加投資し、出資比率は各社7.4%に。将来的に最大9.9%まで買い増す可能性があることを示唆。
- 2023年4月11日、2回目の来日。各商社のトップと会談。2022年12月および直前にも円建て債を発行しており、日本株への追加投資が想定される。
投資額を国別で見ると、Appleやコカ・コーラといった米国株の次がこの日本株(5大商社)となっています。
<商社を買った理由>
実績を見ると、この投資の成功は明らかです。
- 紫=丸紅
- ピンク=三井物産
- 青=三菱商事
- 緑=伊藤忠
- 黄色=住友商事
バフェットが購入してから、5社すべてが大きく上昇しています。
バフェットはどのような考えで商社に投資したのでしょうか。
<商社購入の理由>
- バークシャーと似ている(いろいろなところに投資している)
- 事業が理解しやすいし、実績もある
- 経営者が良い判断をし、お金を使い果たすこともない
- これから100年、そして永遠に生き残る
- 価格が2倍だったら買っていなかった(株価が価値の半値以下と判断)
- 配当や自社株買いを評価
ブレない!バフェットの3つの原則
バフェットは何も新しいことをしているのではなく、常に原則に従って動いているに過ぎません。
<自分が理解できる>
例えば2000年頃のITバブルに時に、バフェットはIT企業に全く投資しませんでした。
IT企業の株価がどんどん上がる中で、バフェットは置いて行かれる形になりましたが、その後のITバブルが崩壊しても無傷でした。
どんなに株価が伸びているものでも自分が理解できないものには投資しないということです。
<「価値」が「価格」を大幅に上回る>
その企業が理解できるものであれば、その企業はどのくらいの価値があるかを考えます。
今回の商社で言うと、特に三井物産や丸紅はエネルギー関連のビジネスが中心となっていて、石油などは埋蔵量から価値の見積もりが比較的容易であるという面がありました。
その見積もった価値と現在の株価を比べて、大きく割安(半値以下)であれば買うと言っています。
価値と価格の差(安全域)が大きいということです。
<おかしな経営を行わない「クオリティ」がある>
日本の商社の経営陣なら、お金を使い果たすようなことはないと判断したようです。
優秀な人材も集まる企業なので、そのことも「クオリティ」として考えられます。
<予測は重要ではない>
この原則を見ると、「株価が上がるところに投資する」「相場を読む」「最新技術」といった話は含まれておらず、将来は分からないけれど良いものに投資していれば必ずその成果が報われる時が来るという考え方をしています。
バフェットの神髄はこれを一貫して行うことにあります。
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