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Apple「Vision Pro」は商業的に失敗する。致命的な3つの問題点とは?エンタメとビジネス利用には活路も=澤田聖陽

技術はすごいが、商業的な成功にはまだ課題が多い

Apple Vision Proのデモした人たちの評価をネット上で見ると、その技術レベルの高さについては最大限の賛辞が送られており、現時点で考えられる最高峰の技術が投入されていることは間違いない。

しかしApple Vision Proが商業的な成功を収めることができるかどうかについては、現時点では比較的否定的な意見が多いように思う。

筆者もApple Vision Proの技術水準の高さと、アップルの新分野に挑戦する精神に対しては高く評価しているが、商業的に成功するには現時点で下記のような問題点があると考えている。

<問題点その1:販売価格の高さ>

Apple Vision Proの販売価格は3,499ドル(約49万円)と発表されており、この価格帯だと購入できる人は、一定上の富裕層やアップル製品フリークなどの消費者に限られるだろう。

メタも「Meta Quest 3」を2022年秋に発売すると発表しているのだが、「Meta Quest 3」の価格が128GBのモデルで74,800円(税込)なのに対すると、技術的には圧倒的に優位にあると言っても、消費者はさすがに高いと感じるだろう。

<問題点その2:使用するのにストレスが発生する点>

Apple Vision Proはスキーゴーグルタイプのヘッドセットで、重さは1ポンド程度(約453g)とかなり軽くはなっているものの、やはりこのタイプのヘッドセットは長時間装着するとかなりのストレスが発生する(Apple Vision Proは使ったことはないが、同タイプのMeta Quest2などを使った感想である)。

筆者はこの不快感というのはかなり重要な要素だと考えており、スキーゴーグルタイプのヘッドセットのように使用に不快感が発生するものは、その部分を改善しないと広く普及しないと思っている。

最終的にはARグラス程度まで、使用していても不快感がない形状にならなければ幅広くは普及しないだろう。

<問題点その3:消費者が使用する用途が現状では限られる>

アップルはApple Vision ProがPCやスマホの代わりとなっていくと考えているようだが、現状ではPCやスマホで使っている機能のほとんどがApple Vision Proに置き換える必要性がない。

分かりやすい例でいうと、Apple Vision Proで遠距離にいる人ともそこにいるような感覚で話せるというが、PCでZoomなどで話せば済む話である。

オフィスに行かなくてもApple Vision ProのようなMRヘッドセットを付けて仕事をするという世界観があるが、オフィスに行けるならオフィスに行って仕事をした方がコミュニケーションも円滑だし、オフィスに行かない場合はPCでZoomなどを使ってコミュニケーションすればよい。

PCやスマホでやっていることのほとんどが、わざわざMRヘッドセットを付けてまでやる必要がない(やるメリットがない)というのが現状である。

Next: 再び世界を変えるか?可能性があるのはエンタメとビジネス利用

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