fbpx

Apple「Vision Pro」は商業的に失敗する。致命的な3つの問題点とは?エンタメとビジネス利用には活路も=澤田聖陽

米アップルは6月5日、アップルの開発者向けイベント「WWDC23」において、複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」を発表した。価格は3,499ドル(約49万円)で、2024年に発売される予定だ。アップルはこの画期的な新製品で再び世界を変えるのだろうか?筆者はVision Proの技術水準の高さと、アップルの新分野に挑戦する精神に対しては高く評価しているが、商業的に成功するには現時点で3つの問題点があると考えている。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

【関連】ソニー&ホンダの電気自動車は惨敗する。なぜ日本メーカーは消費者向け事業が不得意になったのか?=澤田聖陽

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2023年6月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

アップルのMRヘッドセット「Vision Pro」登場

米アップルは6月5日、アップルの開発者向けイベント「WWDC23」において、複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」を発表した。

価格は3,499ドル(約49万円)で、2024年に発売される予定だ。

※参考:Apple Vision Pro – Apple

VR・AR・MRの違い

Apple Vision Proのようなヘッドセット端末の機能について、VR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)という言葉が使われるが、まずはこの3つの違いについてご説明したい。

VRは日本語で仮想現実と表現されるが、VRヘッドセット(もしくはVRゴーグル)というデバイスを装着して、リアルの世界とは完全に遮断して100%ヴァーチャルな世界を作り出すものである。VRヘッドセッドで有名なのは、メタの「Meta Quest 2」であり、すでに全世界で約1,500万台売れていると言われている。

ARは日本語での拡張現実という名の通り、ARグラスなどを装着して現実世界にデジタル情報を付加して現実世界を拡張する技術である。ARグラスで有名なのは、マイクロソフトが販売している「Microsoft HoloLens2」だ。

MRは概念はARに近いのだが、MRデバイスを装着することで、ユーザーの位置とか動きに合わせてデジタル情報を表示したり、直接ユーザーがデジタル情報を触って操作したりすることができる(ARはデバイス越しにデジタル情報を表示するのみで、基本的に直接触れて操作することはできない)。イメージとしては、MRはARとVRの良いところを取り入れたものという感じだ。

Apple Vision Proは、MRヘッドセットであり(現実世界と完全に遮断するVRヘッドセットとしても使えるようではあるが)、空間コンピューティングというコンセプトが打ち出されている。

空間コンピューティングとは、簡単に言うと空間にディスプレイの様に画像を映し出し、空間に映った画像をPCやスマホで使うように操作できるものだ。

Apple Vision Proでは、アイトラッキングとハンドトラッキングという方法で操作する。

アイトラッキングとは目の動きを追跡する技術で、目の動きに合わせてマウスで言うところのカーソルが動く仕組みであり、ハンドトラッキングとは手の動きを感知する技術であり、Apple Vision Proでは手の動きでつまむようにするとマウスで言うところのクリックをする形になる。

Next: 技術はすごいが商業的な成功には課題山積み。致命的な3つの問題点は?

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー