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ソニー&ホンダの電気自動車は惨敗する。なぜ日本メーカーは消費者向け事業が不得意になったのか?=澤田聖陽

ソニーとホンダの合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ(SHM)」が電気自動車の新ブランド『AFEELA』のプロトタイプを発表した。この発表を見て、感じていた懸念が実際に起こってしまったことを確信した。このままの路線で行けば、SHMのEV事業は惨敗で終わるだろう。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

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※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2023年1月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

ソニー&ホンダのEV新会社が始動

ソニーとホンダの合弁会社であるソニー・ホンダモビリティ(SHM)は、1月4日に米国ラスベガスで開催された「CES2023」で、EVの新ブランド『AFEELA』のプロトタイプ(試作車)を発表した。

SHMは2022年10月の設立(合弁会社設立の発表は3月)であり、ソニーとホンダが50%ずつ出資して設立された会社である。

筆者は2022年3月の合弁会社の発表以前に、下記の通りソニーとホンダが組んでEV新会社を設立するだろうということを予見していた。

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合弁会社発表後も大きな期待を持って継続ウォッチしてきたが、今回『AFEELA』のプロトタイプ発表を見て、正直がっかりさせられた。

今の路線で行けば惨敗は必至

実は以前からSHMの事業に期待はしていたものの、間違った路線に行く可能性があることを懸念はしていた。

今回の『AFEELA』の発表を見て、感じていた懸念が実際に起こってしまったことを確信した。

このままの路線で行けば、SHMのEV事業は惨敗で終わるだろう。

一言で言えば、「消費者が自動車に何を求めるか」をまったく整理できていないと感じた。

コンテンツは自動車を選ぶ差別化要素にならない

『AFEELA』の発表会を見て疑問に感じたのは、SHMがEVを「コンテンツを提供するデバイス」と定義しているという点である。

実際にソニー出身の川西社長は、AFEELAで音楽を聴いたり、映画を観たり、ゲームをしたりということを前提としているような発言をしている。

筆者も自動車で、音楽を聴いたり、運転手以外が映画を観たりゲームをしたりということ自体を否定するつもりはない。

川西社長が話しているように、自動運転に技術が普及すれば、運転手さえもそのようなコンテンツを自動車での移動中に楽しむことはあり得るだろう。

しかし、自動車自体がコンテンツを提供できるデバイスとして進化する必要があるかというと個人的には否だと思うし、少なくとも自動車を選ぶ消費者に対する決定的な差別化要素にはならないだろう。

また今回のAFELLAの「メディアバー」という機能が発表されているのだが、これはフロント部分にLEDでロゴや天気など各種情報を表示できる機能である。

正直な感想として、何でこのような無意味で消費者が求めないものがプロトタイプの発表に残ってしまったのかと思った。

そして、このままの路線で行くとソニーとホンダのEVでの試みは惨敗するだろうなと確信に変わったのである。

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