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原発「処理水」風評被害の元凶は東電・政府の隠蔽体質。なぜ中国ほか隣国が激怒?日本国民も騙されている可能性=神樹兵輔

処理水の海洋放出が30年で終わる――というのも大ウソ

今は、国民の目が、「海洋放出」に向けられているので、東電も政府もとにかく神妙です。おそらく、現在は厳密なチェックが行われていることと思います。

しかし、これから30年も続くといわれる処理水放出です。

どうなることやら、懸念が膨らみます。

ましてや、この30年の期間というのも、いったいどこから出てきて「30年」になったのかも不思議なのです。「30年」が独り歩きしています。

将来行うとされる炉心溶融したデブリの除去や、全体の廃炉作業ですら、今の段階ではまったく目途が立っていないのが実情だからです。これから30年どころか、40年、50年、100年……いや永遠に続くやもわからないのが現状です。

何といっても、デブリの除去方法に「有効な手立て」が、今のところ一向に見つからないからです。ロボットアームを使えば、何とかなるかな――程度の甘い見通しだけしかないのです。

つまり、取り出し方法は、まだこれから開発中ということなのです。

「30年」という処理水の海洋放出の期間だけが、これまた勝手に一人歩きしているのが現実なのです。

高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場も迷走して決まらない

原発の積極活用を掲げる岸田政権です。

しかし近頃、長崎県の対馬市の比田勝尚喜(ひたかつ なおき)市長は、「市民の分断を深めたくない」「風評被害が懸念される」という理由で、市議会の採択に反して、核の最終処分場選定に向けた第一段階の「文献調査」に応募しない――ことを決めています(大石賢吾・長崎県知事はもともと推進する立場にないと表明していた)。

もとより、最終処分場が必要とされたのは、青森県六ヶ所村の再処理工場で、原発から出た「使用済み核燃料」を化学処理し、再度MOX燃料として、原発の新燃料にするサイクル計画の予定があったからです(いわば、一度燃やしたウラン燃料のリサイクル工程なのですが、MOX燃料は実は天然ウラン原料価格の10倍も高い)。

ただし、この再処理工場自体が、1993年に建設が始まったにも関わらず、これまで26回もの完成延期となっており、稼働の目途が立っていません(試験的にフランスからMOX燃料を輸入する有様でした)。

本来は、再処理工場から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場を決めておかないとまずいわけでした(決めるまでに3段階の調査があり、20年はかかる)。

最終処分場とは、地中300メートルの安定した岩盤に使用済み核燃料を溶かした廃液とガラスを混ぜた高レベル放射性廃棄物「ガラス固化体」を埋めて処分する施設のことです(天然ウランの放射性レベルに落ち着くまで8,000年といわれ、化学処理していない放射性廃棄物の場合は10万年とされます)。

しかしまあ、このような再処理工場の未稼働といい、核のゴミの最終処分場の未確定といい、もはや日本の原子力活用の「核燃料サイクル」はすでにすっかり破綻しているのです。

それなのに、岸田政権は、原発推進の暴走が止まりません。

Next: 日本列島に「核のゴミ捨て場ナシ」の状況が永遠に続く可能性

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