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ガソリン補助、年度末まで延長も「補助より値下げ幅が少ない」と中抜きを疑う視線。二重課税など高値の元凶をスルーし続ける政府に募る国民の苛立ち

年内で期限切れを迎えるガソリンへの補助金だが、来年3月末までは延長する方向で政府が調整を始めたと報じられている。

ガソリン補助は、石油元売り会社に補助金を支給し、卸価格の抑制を通じてガソリンスタンドでの店頭価格を抑え込む仕組みで、昨年1月に導入されたもの。

今回報じられた来年3月末までの延長は、今月末を目途にまとめる経済対策と、令和5年度補正予算案に盛り込むとのこと。また来年4月以降についても延長を視野に、引き続き与党と協議しながら対応を検討していくという。

補助金が無ければリッター200円超は確実

当初は今年9月末に期限を迎える予定だったものの、物価高が続いている状況を受け、岸田文雄首相が8月末、年末までの延長を表明していたガソリンへの補助金。

ところが、原油価格自体は落ち着きつつあるものの、円安のほうは依然進行している状況。くわえて、ここに来てイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が激化し、中東情勢が緊迫の度を増していることが、原油価格に影響を与えることは必至ということで、当分は補助金なくしてガソリン代の高騰は抑えられない、といった判断になったようだ。

実際、このガソリン補助によって、レギュラーガソリン1リットルあたりの全国平均価格はかなり下がっているようで、9月上旬に記録した過去最高値の186.5円に対し、今月10日時点の価格は176.9円と、約1か月間で10円ほど下落しているという。

というのも、ガソリン補助の補助率はこの9月と10月に相次いで引き上げられており、現在は基準価格の1リットル=168円を超えた分の60%、さらに185円を超えた分の全額を補助することにより、価格が1リットルあたり175円を超えないように調整されている。

具体的に、直近1週間(5~11日)の1リットルあたりの支給額は、実に37.6円にのぼるということで、この補助金が無ければ平均価格の200円超えは確実といったところだったようだ。

石油元売りによる中抜きを疑う声も

というわけで、ガソリン価格の抑え込みには一定の効果を果たしているとされるガソリン補助。

しかしながら、そもそもガソリン代にはガソリン税が含まれているにも関わらず、それに対して消費税が課される二重課税が行われている点、さらにガソリン代が一定価格を上回った際に、暫定税率を免除する「トリガー条項」が長らく凍結されていることが、ガソリン代高騰に繋がっていることは、ここ数年の間ですっかり周知されている状況。

それゆえ国民の間からは、ガソリン補助よりも“二重課税の解消”や“トリガー条項の発動”といった、ガソリン代の高騰を招く“元凶”を何とかしろという声が、しきりにあがるわけだが、今回のガソリン補助延長の報道を受け、その声がさらに高まっているところである。

いっぽうで、政府によるこの手の補助金、あるいは近年では各種ポイントの導入もよく耳にするところだが、それらに必ず付いて回るのが“中抜き”疑惑。ガソリン補助金に関しても多分に漏れずといったところで、なかには石油元売りに渡った補助額より値下げ額が少ないのではといった声もあがるなど、疑念の視線は尽きない。

もっとも、一度手にした税収は何があろうと手放さない、補助金はいくらでもばら撒くが減税だけはしたくない……といった姿勢で一貫している政府にとっては、これらの国民の声はまさに馬耳東風。今後も抜本的な解決が図られることなく、補助金という名のガソリンが注がれ続ける状況が続きそうだ。

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