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株価ピークから半値以下「ワークマン」は買いか?急拡大の“代償”と直面する3つの壁=栫井駿介

ワークマンが抱える3つの問題点

足元の経営状況は、アウトドアブームの終焉、カジュアル衣料の難しさ、そして顧客離れという3つの大きな問題があります。

<アウトドアブームの終焉>

まず、アウトドアブームの終焉は、アウトドア関連の人気ブランドであるスノーピークが減益となっており、ブームの終焉と指摘されています。
しかし、ブームというものは波を繰り返すもので、その波に業績が影響されるのはある程度仕方ないことであり、本質的な問題ではないと言えます。

<カジュアル衣料の難しさ>

より大きな問題はカジュアル衣料の難しさです。
ワークマンはこれまで主に作業服を販売してきたため、作業服の市場は一度仕入れればいずれ売れる性質の商品が多く、値引き販売や在庫処理の必要がほぼありませんでした。
しかし、カジュアル衣料は毎年のようにトレンドが変わるため、需要予測が非常に難しいです。
需要を予測し、在庫を最小限に抑えることはアパレル業界全体にとって課題となっています。

ワークマンはカジュアル衣料に進出し、店舗数や売上も増加していますが、これは在庫が増える可能性があることを示唆しています。

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出典:IR BANK

ワークマンの棚卸資産は2020年頃から急激に増えていて、2023年3月期にはさらに大きく増えています。
売れ残りの商品が溜まってきているのではないかという見方ができるわけです。

作業服は需要の予測がしやすいため在庫のリスクが低いですが、カジュアル衣料の需要の変動が大きい中での在庫管理は難しい側面もあります。
入荷を少なくすると、在庫切れによって顧客を失望させる可能性もあります。

<顧客離れ>

店舗がカジュアル寄りになったことによって、今まで作業服を買っていた人たちが入りづらくなっているのではないかと考えられます。
カジュアル衣料という新たな市場で新規顧客を掴めないことはある程度仕方ないことではありますが、カジュアルの方に店舗を転換したことによって、元々の安定顧客が離れていっている可能性があるわけです。

【テレビに出たお店が潰れる理由】

テレビで取り上げられたことによって急激に新規のお客さんが入ると、既存のお客さんにとって居心地が悪くなり、足が向かなくなってしまいます。
話題に飛びつくミーハーなお客さんは定着せず、元々のお客さんも戻ってこなくて、結果的にお店が潰れてしまうということが多くあります。

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出典:ワークマン 決算説明会資料

ワークマンの状況を見ると、新規顧客である「アスレジャー」が伸びていて全体の売り上げも伸びているのですが、既存顧客である「ワーク」がわずかながらマイナスになっていて、既存顧客離れの傾向があるのではないかと見えるわけです。

Next: ワークマン株は買いか?長期経営で大切なのは「既存顧客」

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