株価が下がった理由その1:内容が良くない上方修正
株価が下がっている大きな要因は、上方修正によって建設機械販売が苦戦している状況が読み取れるためです。つまり、内容が良い上方修正ではないのです。
修正内容の中身を深堀しましょう。
営業利益は当初よりも570億円上方修正されました。しかし、建設機械のセグメント利益を見ると、円安が業績に大きな影響を与えていることがわかります。その為替の恩恵よりも、上方修正幅が小さいことから、本業である建設機械の販売で苦戦していることが考えられるのです。
出典:24年3月期2Q決算説明資料より作成
これを踏まえると、上方修正は必ずしも喜べたものではないという見方もできます。むしろ今回為替の影響がなければ、100億円前後の下方修正となっていた可能性もあります。
また上方修正したとしても、日経QUICKコンセンサスの予想を下回っていることから、市場は「決して安心できない」と捉えている可能性もあります。
出典:日経新聞より作成
これが株価下落の1つ目の要因、内容が良くない上方修正から読み取れる、建設機械販売の苦戦です。
株価が下がった理由その2:金利高による景気減速
コマツは米国における売上比率が40%を超えていることから、米国金利上昇の影響を受けるものと考えられます。
金利上昇がコマツに与える影響として、金融機関からの借入や有利子負債の支払い利息を増加させるなど、自社利益を減少させるリスクが増えていきます。
また、借入金利の高騰によって、住宅着工件数が減速することも考えられます。加えて、米国ではオフィス空室率増加のリスクが高くなってきています。これらも新規建設の需要を押し下げる要因になるでしょう。
これに対し、コマツの小川 啓之社長は今後の建設機械の市場動向について以下のように述べています。
「各国の経済成長率の鈍化やインフレ率の高止まりが予測されており、(鉱山向けを除く)一般建機の需要は厳しくなりそう。地域別では欧州や北米が心配な一方、東南アジアなどの新興国は堅調」
このように、インフレ抑制のための金利上昇が、建設機械の需要を押し下げる要因となっています。さらに、9月のFOMCで年内の追加利上げの可能性を示唆したことで、一気に株安を誘発したものと考えます。
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