コマツの株価が急落しました。9月19日に4,509円をつけてから、1ヶ月半で22%近く下げています(原稿執筆時点11月2日)。今回は「なぜ株価が下がっているのか?今後もその下落は続くのか?今は買い時なのか?」その答えを考えていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
コマツのビジネスとは?
コマツは大手総合建設機械メーカーです。売上の9割を占める建設機械・車両事業の主力商品は、ショベルカー・ブルドーザー・ダンプカー・フォークリフトなどいわゆる「働くクルマ」を製造・販売しています。
出典:コマツ 土木紹介ページ
コマツは1917年自社用工作機械、鉱山用機械を生産する企業として創業しました。その後、国産1号の農耕用のトラクターやブルドーザーの原型を作成するなど日本の建機の土台となる製品を開発していました。
1955年アルゼンチンへ建機を輸出した事を皮切りに、インド国防省やアメリカの企業と業務提携をするなどグローバル色を高めました。(23年3月現在の海外売上比率は90%)
1998年には代表的なIT技術komtraxを開発。2000年以降、IT技術を駆使した無人トラック運行システムを世界初導入するなど、今や業界2位の追随不可能な地位を確立しました。
しかし、今期24年3月期決算は減収減益の見込みでした。
出典:有価証券報告書より作成
その理由は、アジアや北米を中心に鉱山機械の需要が好調に推移する一方で、金利上昇の影響もあり、一般建機の需要が減速することを織り込んでいたためです。さらに為替が円高になることを想定し1ドル=125円で計算していたことも関係しています。(決算発表時は1ドル=135円前後)
しかし、通期で減収減益予想ながらも株価は上がり続けていました。
その背景には、1ドル=140円〜150円の円安傾向があったこと、北米における鉱山機械の需要が底堅かったことで、24年3月期1Qの決算が好調だったことが影響しています。(売上高前年比+17.8%、営業利益同+57.1%)
出典:株探 23年1月1日から9月19日まで
が、しかし、現在は株価は急落しています(編注:原稿執筆時点11月2日。11月6日現在はやや反発しています)。
しかも、上方修正をしているにも関わらずです。
出典:決算短信より作成
上方修正をしているにも関わらず、なぜ株価が下がっているのか?
考えられる2つの理由を説明します。