搾取されるばかりのサラリーマンの身分では一生「金持ち」にはなれない
さて、世の中には「お金持ち」と呼ばれる純資産が1億円以上にのぼる人たちが、数%の割合で存在します。
こうした「お金持ち」になるには、どんな方法が考えられるのでしょうか。一般的には、次のような方法があるといわれます。
- 金持ちの親から莫大な「遺産」を受け継ぐ
- 金持ちの子息や令嬢と結婚して、裕福な一族に加わる
- 医師や弁護士などのエリート資格で稼ぎ富裕層に連なる
- 外資系金融エリートなどの高額報酬の仕事に就き蓄財する
- 会社員の本業以外に効率のよい副業で稼ぎ蓄財する
- 株式や不動産への投資で成功し、富裕層に連なる
- 起業に成功して富裕層に連なる
- スポーツや芸能、エンタメ作品制作など特殊技能で儲ける
- 画期的発明での特許収入で儲ける
ざっと以上でしょうか。いずれのパターンも、搾取される立場でない人であることが窺えます。
しかし、金持ちや富裕層になるための方法を、こうして並べて見ただけでも、どれも簡単そうではないのです。よほどのチャンスと僥倖に恵まれないと、こういうケースに連なることは難しいのです。
富裕層というのは、年収(フロー)で見るのではなく、金融商品や不動産などの純資産(借金を除いた資産)を、少なくとも1億円以上保有しているのが、基準値になっています。
最低のステータスでも、純資産1億円なのです。
こうした純資産を蓄えるには、フローの収入がほとんど生活費で消えてしまうような搾取されるばかりのサラリーマン人生では、到底不可能なのです。
いったん、潤沢な純資産を築けば、その純資産が、毎年インカムゲイン(純資産が生み出す収益)をもたらしてくれ、純資産が増え続けていくイメージ……となるのが富裕層です。
一時的に、たまたま年収が1,000万、2,000万円あるといったフローで見ただけでは、到底お金持ちとはいえないのです。せめて、1億円以上の永続的な資産を借金無しで保有していなければなりません。
ここまでで、最もはっきりしているのは、生涯サラリーマンの身分のままでは、一生かかっても、こうした富裕層の仲間入りはできそうにない――ということなのです。
サラリーマンの生涯収入は少なすぎる
なぜなら、大卒男性サラリーマンの生涯収入の平均値は、概ね2億5,000万円前後です。
しかし、そこから税金や社会保障費などを支払うと、7割程度の手取りになるので、定年退職までの現役の期間で、1億6,000~1億7,000万円が実質収入となるのです。
これで生活費や住宅ローン、教育費などを40年間賄ったとすると、余剰で投資や貯蓄に回せる金額はとてつもなく小さくなるでしょう。
生涯(40年間)の手取り収入が1億6,000~1億7,000万円というのでは、1年あたりでは、せいぜい400万円程度の収入にしかならないわけですから、それも当然なのです。
ようやく住宅ローンの返済が終わって、老後に老朽化したマイホームなどがあれば、それが老後の純資産のすべてといってもよいくらいなのです。これでは貧困老後は必定でしょう。
あるいは、夫婦揃って人口規模の大きな自治体の公務員になり、世帯年収1,000万円以上のパワーカップルであれば、定年後には金融資産などが膨らんで、多少裕福な老後になれるかもしれませんが、こういうケースもまた、そうそう多くはないでしょう。
つまり、サラリーマンは「生かさず殺さず」という残酷な人生といえないこともないのです。これでは、人生100年時代といわれても、65歳以降の老後の人生設計が心配になるのも無理はないのです。