円安で日本人の持つ貯金や現金も目減りし、国内でも物価上昇に賃金が追いつかず、政治家は無能で日本を良くする政策を取ることができず、経済状況がどんどん悪化していく。馬鹿な政治家の30年の失策のせいで、私たちは「凋落の環境」に適応する能力が求められる時代になった。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
日本は凋落するのか、陽はまた昇るのか?
アメリカの金利が高止まりしており、日本の金利が低いままであるならば、単純にドルを保有したほうが高金利を享受できるのでメリットがある。そのために、ドル高円安となる。
現在、アメリカの政策金利は5%超えとなっているのだが、日本の政策金利はゼロ%で推移している。この状態が継続するのであれば、「ドル高円安の傾向はしばらく続く可能性が高い」と多くのアナリストが見解を発表している。
とは言っても、来年か再来年のどこかでアメリカの高金利も低下していくし、日本の金利も「もしかしたら」少しは上がる可能性もある。そうなれば、今度はドル安円高に振れることも考えられる。
しかし、政策金利の上下で為替レートが動くのとは別に、考慮しなければならなことがある。日本の凋落が続くのであれば、円の価値は下がるので長期的には円安になってしまうのは避けられない現象だ。
日本が今後も凋落し続けるのか、それとも奇跡か神がかりが起きてまた「陽が昇る」のかは誰にも分からない。
少なくとも凋落を避けるためには政治がしっかりしなければならないのだが、果たして今の政治家が強い指導力を発揮して日本の経済を成長させることができるのかというと、非常に心もとないものがある。
もし、日本が凋落を余儀なくされるのであれば、私たちは「凋落の環境」に適応しなければならなのは当然のことである。
スタグフレーションを引き起こすのではないか?
2022年あたりからコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などによってグローバル経済が混乱し、資源価格の高騰やコロナ禍の異次元の金融緩和などの悪影響もあって世界中でインフレが止まらなくなってしまった。
デフレで苦しんでいた日本にもその物価上昇の波がやってきているのだが、現在の日本で起きているのは「コストプッシュ型のインフレ」である。
要するに原材料などが上がってしまったので、その分を価格転嫁しないと企業もやっていけなくなってしまうインフレが今の日本で起きているインフレだ。
このインフレは好景気で需要が喚起されて起きているインフレとはまったく違う。景気が悪いのに値上げするので売上も落ちるし、そうなると景気はもっと悪化するのでアナリストの中にはこれを「悪いインフレ」と呼ぶこともある。
景気が悪いのに物価が上がる。物価が上がるから景気が悪くなる。この負のスパイラルのことを「スタグフレーション」と呼ぶ。日本では1970年代に起きたオイルショック後の狂乱インフレは、まさにスタグフレーションであった。
今のドル高円安も「スタグフレーションを引き起こすのではないか?」と多くの経済アナリストが懸念するような状況になりつつある。
岸田首相は首相になる前は「令和の所得倍増計画」と景気の良いことを言っていたのだが、蓋を開けてみれば18か月連続で実質賃金がマイナスである。物価が上がっているのに賃金が追いついていないのであれば買い控えが発生する。
実際、全国のスーパーの販売データを集計する日経POSでは、値上がりした食品の約7割にあたる40品目で販売数量が減っているのだ。消費が冷え込めば間違いなく景気は悪化するわけで、スタグフレーションの懸念は私にもよく分かる。
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