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なぜ「ユニ・チャーム」増収増益でも株価10%急落?中国市場の悪化を長期投資家はどう判断すべきか=佐々木悠

ユニ・チャーム<8113>の決算の分析を行います。最新の23年12月期の決算は、売上高が5%増、自社算定のコア営業利益は1.2%増と、増収増益の決算です。しかし、決算発表の翌日の株価は10%暴落しました。なぜ株価は暴落したのでしょうか?投資家の間では、優良企業として認識されているユニ・チャームの何が問題なのでしょうか?ユニ・チャームの特徴を解説し、決算で特に目立った中国市場の動向を詳しく分析します。そして、最後は今から投資しても良いのかを考えていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

ユニ・チャームはどんな企業?

ユニ・チャームは、マスク、大人&赤ちゃん用オムツ、女性用生理用品などを取り扱う日用品メーカーです。主力となる技術は、紙で水分を吸収する技術です。不織布・吸収体の加工、成形などで、長期に渡り成長してきました。

業績は綺麗な右肩上がりで成長しています。それに伴い、株価は10年で約3倍に上昇しています。

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出典:マネックス証券

その成長を支えたのは、海外事業です。特にタイ・インドネシアなどの東南アジア中国で強みを発揮しています。

ユニ・チャームの海外展開は非常に戦略的で、再現性が高いものです。市場を「黎明期」「成長期」「普及期」「成熟期」に分け、各段階に応じた戦略を明確にしています。

不織布・吸収体商品の普及率はその国の1人当たりGDPの水準と大きく関係しており、1人当たりGDPが3,000ドルを超えると生理用品やベビー用紙おむつの普及が一気に進みます。さらに1人当たりGDPが高まっていくと、大人用紙おむつやペットケア用品の普及が拡大する、という自社のノウハウがあるのです。

例えば、東南アジアのようにまだベビー用紙オムツの普及が進んでいない地域では、「モレない」「ムレない」などの必要最低限な機能のみを備えた低コストのラインナップを展開しています。また、現地生産・現地販売を基本路線として、設備投資を積極的に行います。

その後市場が成長した「成熟期」に入ると、日本のような高付加価値製品や、ペットケア商品などを展開します。

こうして市場の様子を見ながら投入する製品を変えていくことで、対象市場内でポジションを確立しています。

逆にP&Gやキンバリークラーク、ヒンドゥスタン・ユニリーバのような、強力な競合が存在している地域(北米やヨーロッパなど)では、技術供与によって最小限の投資で利益を拡大する戦略をとっています。

このように戦略的な企業でありながら、決算を受けて株価は10%暴落しました。

それはなぜでしょうか?

Next: なぜ中国市場の業績が悪化?日本とは違った難しさ

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