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なぜ「ユニ・チャーム」増収増益でも株価10%急落?中国市場の悪化を長期投資家はどう判断すべきか=佐々木悠

中国に変わる次の成長市場「インド」はどうか?

では、中国以外の市場開拓はどうでしょうか?

ユニ・チャームが次に狙う地域は、インドやアフリカなどです。

これらの地域は、まさしく市場の黎明期〜成長期に当たる地域であり、最低限の機能を備えた商品を、安い値段で販売しシェアを取得している段階です。

ユニ・チャームはこれらの地域へ500億円の設備投資を行い、2030年までの重点戦略としています。社長の高原氏は「新興市場でできるだけ早く1/3のシェアを取りたい」としています。

中でもインドの市場のシェアは拡大しています。

ユニ・チャームがインド市場を開拓し始めたのは2000年代後半です。当時のインドは、99%が布オムツを使い、ユニ・チャームが得意とする使い捨て紙オムツの普及率はほぼ0%でした。

しかし、紙オムツの利便性をTVCMで訴求し、商品の特徴と価値を浸透させました。そしてユニ・チャームはオムツ市場の30%のシェアを獲得し、紙オムツ市場を新しく開拓することに成功しています。現在、コロナ禍以降のインドの成長率は15%〜30%を維持しています。

このように、ユニ・チャームは紙オムツの市場がない地域に対しても市場を創出し、シェアを拡大する力を持っている企業です。

しかし、インド黒字化まで10年かかった、という事実もあります。同様にアフリカなどの新興国開拓も時間がかかるでしょう。長期投資家として企業の努力を長い目線で応援していきたいものです。

10%暴落でも買って良いのか?

ここまで、ユニ・チャームの中国市場の動向と、次なる市場開拓の実現性について解説してきました。最後に株価に対する考え方を解説します。23年12月までの半年間のチャートを見てみましょう。

ユニ・チャーム<8113> 日足(SBI証券提供)

ユニ・チャーム<8113> 日足(SBI証券提供)

11月の決算を受けて大きく株価が下落しています。23年12月8日現在のPERは36倍です。

23年8月ごろのPERは42倍前後でしたから、やや落ち着いた印象はあります。

そもそもユニ・チャームは常にPERが高い企業です。過去10年間の平均PERは約36倍ですから、現在の株価水準はまさしく適正水準であると考えます。

この高いPERの背景には、

・海外マーケットを開拓してきた実績に基づく将来への期待

・長期にわたり成長してきた安心感

・衛生用品という安定的な需要が見込める商品性

これらが含まれていると考えます。

しかし当然リスクもあります。

Next: 気になるリスクは?長期投資家はどう判断すべきか

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