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エムスリー株価ピークから80%下落、いまは買い時か?暴落の理由と今後の成長シナリオ、長期投資家はどう判断すべきか=佐々木悠

海外展開の速さとM&A

そして、エムスリーがもう1つ優れていたのが、海外展開の速さです。

創業から3年、上場する前にアメリカへ進出します。さらに上場後の2005〜2006年の間に韓国・アメリカの医療情報サイトを運営する会社を買収していきます。その後も毎年のように企業を買収し、成長を重ねていきます。

海外事業では、アメリカの他にもイギリス、フランス・ドイツ・スペインなどにも展開しています。提供サービスはマーケティング支援や、医師向け転職支援、その他調査サービスなどです。

したがって、早期から世界各国でMR君と似ているサービスの基盤を作り上げ、コロナ禍でその成長が爆発しています。

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出典:各年度有価証券報告書より作成

しかし、コロナ禍以降は株価がどんどん下がっています。それはなぜでしょうか?

エムスリー<2413> 週足(SBI証券提供)

エムスリー<2413> 週足(SBI証券提供)

エムスリーの株価が下がる理由

株価が下がる理由は、複数あると思います。

まず、21〜22年の下落理由は「流石に株価が上がりすぎた反動」であると考えます。この時期のPERは90倍前後ですから、いくらなんでも高すぎます。

業績は拡大しているものの、コロナの収束に向けて株価の調整が起こり、下落が続く局面であったと思います。

では、なぜいま現在も株価が下がっているのでしょうか?

それはコロナ特需剥落による成長鈍化の懸念があるからだと考えます。特に、最新の2024年3月期 第二四半期決算では、その兆候が読み取れます。

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出典:エムスリー 24年3月期第二四半期 会社説明資料

特に目立つのは、各セグメントの利益がマイナスであることです。コロナ関連の一時的な影響を除けば、売上は成長しているようですが、投資家が注目すべきは利益です。通期決算では増収増益予想であるため、ここからどう立て直すのかがポイントになりそうです。

さらに、主力のメディカルプラットフォーム(MR君の主力サービス)の売上成長率も7%です。これまで前年比+20〜30%成長していた時と比べると、物足りなさを感じる方もいるでしょう。(サービスの規模が大きくなったため、仕方がないことでもあります)

このように、コロナ禍で大きく成長したエムスリーは成長の転換点にあるのです。

では、ここからどうやって成長するのか?を考えていきましょう。

Next: エムスリーは今こそ買いか?未来の成長ストーリーを考える

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